平野氏:どちらかと言うと、ベースはクラウドの方が大きいですよね。今までの企業のIT部門には、ハードがあってソフトがあってデータがあった。でもハードもソフトも、クラウドの借り物でいいんです。データは借り物にできないから企業に残っている。じゃあハードもソフトはIT部門が守っていたなら、データは誰が守るのか。それが現場なんです。データを使わない人がお守りするわけがなくて、そうなると業務が現場よりになっていきます。

平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
じゃあ、それが事業やサービスとして組み合わせて使えるためにはどうすればいいか、というとデータ連携だけではだめなんです。価値の移転と、そのあいだのルールが必要で、ここがブロックチェーンなんです。そうしないとオートノミック(自律)で動かない。ぜんぶ人を介さないと動かないので、そうしたときに組織を超えて、業務の組み合わせを画面で作って動かすことが出てくるんです。
朝山氏:それはスマートコントラクト(契約の自動化)そのものですね。
杉井氏:そうですよね。僕らはまだビューを設計するところまではサポートできていないので、その1段階下のAPIというレイヤをやっているわけです。それがGUIで自由に設計できるようになっていって、BPM(Business Process Management)などでやられた手法がインターフェイスになっていくんだろうと思います。そうすると企画者などもそうした業務ができるようになるし、そのレポートビューは最近流行りのBI(Business Intelligence)などを使うようになるので、スキルセットが変わるでしょうね。先ほど「何ができるか」ということを特性を知っていればいいと言いましたが、やはり業務を知っていることが大切です。
朝山氏:ロジカルなエンジニアよりも、ロジカルなプランナーが勝つ時代ですね。
杉井氏:本当にコアなエンジニアは残ると思いますが、中途半端な人は……。
平野氏:あいかわらずベースを作る人は必要なんですよね。でも各社にIT部門としては必要なくなる。
杉井氏:というかベンチャーの世界ではもうないですよね。金融系は必ずありますが、ベンチャー企業には技術部門はあっても情報システム部門はないですから。
川村氏:お客様のビジネスデザインをどうサポートしてあげるかが、これからわれわれも力をつけていかないといけないんでしょうね。
杉井氏:そこはブロックチェーンというよりも、スマートコントラクトにダイレクトなんですね。スマートコントラクトのエンジンはプログラマブルなので、コードを書いているうちはだめです。「それ(スマートコントラクトを構築するための基盤でもある仮想通貨)イーサリアムじゃん」となる。瑕疵(かし)が生まれて、エラーが含まれ、お金が抜かれてしまう可能性がある。