「最高」を構想したらブロックチェーンに行き着いた--ベンダー座談会(1)

小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2016-09-13 07:00

 世界中に点在するコンピュータにデータを分散、非中央集権ネットワークにより、データの破壊や改ざんを困難にするブロックチェーンは多くの注目を集めている。そのブロックチェーン技術についてさまざまな企業が実証実験を始めている。仮想通貨や勘定系システムだけでない、社会インフラや企業システムへの展開の可能性を識者が語る。参加者は以下の6人。

参加者(自己紹介順)

  • 小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS 副代表理事 司会)
  • 平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
  • 大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)
  • 川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
  • 朝山貴生(テックビューロ 代表取締役所長)
  • 杉井靖典(カレンシーポート 代表取締役 CEO)

日本のブロックチェーン有識者の取り組み

 小川氏:司会進行を務めます、FINOBATORS(フィノベーターズ)の小川と申します。普段は証券会社で新産業やベンチャー企業の調査をしています。


小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS」副代表理事)

 まずは、ブロックチェーンに関連してどういった活動をしているのか、それぞれの自己紹介をふくめてお願いします。

 平野氏:インフォテリアの平野です。ブロックチェーン推進協会(BCCC)の理事長を務めています。BCCCでは「すべての企業にブロックチェーンのパワーを」ということをスローガンに活動しているところです。

 本業ではデータ連携ミドルウェアのソフトウェアを販売するインフォテリアの代表取締役社長をしています。「いろんなものをつないでいく」ということを設立のときから掲げていて、今もそれを継続しています。でブロックチェーンに対する立場も「ブロックチェーンをつないで世の中のさまざまな企業で使っていく」、つまりブロックチェーンのパワーをいろいろな企業やサービスに使っていただくことで普及、推進しようとしています。

 大谷氏:日本マイクロソフトの大谷です。この6年くらい、マイクロソフトが展開しているパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」のプロダクトマネージャーを務めています。ここ1~2年はIoTや人工知能(AI)といった破壊的なテクノロジの市場開拓を担当していました。そうしたなかBitcoinも注目を集めているので、兼務するかたちでMicrosoftのブロックチェーンの推進を担当しています。

 MicrosoftはBCCCと日本ブロックチェーン協会(JBA)の両方に参画しています。私自身はBCCCで理事をやっているので、そちらに注力していますが、Microsoftとしては両方と関わっています。その意図は、Microsoftがクラウド上で展開しているブロックチェーンのバックエンドサービス「ブロックチェーン・アズ・ア・サービス(BaaS)」という概念があります。たくさんのブロックチェーンのテクノロジが生まれていますが、有望視されているものもあれば、これから出てくるものもあります。それらをより使いやすく身近なものにしていく。特にそれらはBtoBの世界——いわゆる自社のネットワーク内やパートナー間で利用するネットワーク内だけでブロックチェーンを使う「プライベートブロックチェーン」といったところでもっと有用だろうという予測のもとで、たくさんのブロックチェーンをクラウド上から提供していくということをミッションにしています。

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