川村氏:日本IBMの川村です。私はこれまで主に金融機関向けのビジネスを担当してきました。昨今のブロックチェーンの話は、金融機関を中心としたいろいろな影響があり、システムも変わっていくであろうと言われています。そうしたなかで2016年の中頃から、ビジネスというよりも啓蒙活動に携わっています。
川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
われわれの取り組みを簡単に説明しますと、The Linux Foundationの「Hyperledger Project」(ハイパーレッジャー・プロジェクト)に、グローバルなIBMすべてが協力しています。あくまでも1メンバーとしての参加ですが、初期プロジェクト立ち上げ時のコードの提供や全体の運用にも中心メンバーとして関わっています。これまでお付き合いの多かった企業ユーザーへ、プライベートブロックチェーンをどのように提供していくか、どのようにより使いやすくて安全なブロックチェーンを推進していくか、いろいろな金融機関・企業法人と検討しながら進めています。
いろいろなブロックチェーンの考え方があるということは、個人的には認めています。ブロックチェーンは適材適所なので、それぞれに向いた技術を使うのが良いと思っています。
朝山氏:テックビューロの朝山と申します。弊社は、ビットコインからプライベートブロックチェーンまでカバーした企業です。ひとつが「Zaif」というブランドで、ビットコイン取引所から始めて、あらゆるパブリックに流通しているブロックチェーン上の資産を交換できる取引所とエンジンを作っています。その派生として、ビットコインやトークンなどでリアルタイムで投票できるシステムを作ったり、パブリックのブロックチェーンもやっています。
また、「NEM」(New Economy Movement)というマーケットキャプ(時価総額)で6~7位を行ったり来たりしている大きめのブロックチェーンプロジェクトのコアメンバーに、弊社のエンジニアがなっています。そこでは2年以上の開発実績のあるメンバーと、企業内でプライベートブロックチェーンを構築するためのプロダクトとして「mijin」を作っています。世界でも変わった例なんですが、そのコアメンバーが商用で作ったエンジンを、オープンソースコミュニティ「NEM」に提供して、同じAPI上でどちらも使えるようにしました。普段は混ざらないと言われているオープンソースコミュニティの数千人と一商業体である弊社が共存し、パブリックとプライベート双方のブロックチェーン利用ができる環境を作っています。
このように弊社は、「ビットコインなどのブロックチェーン資産」「自社開発のプライベートブロックチェーンであるmijin」「そのパブリック版であるオープンソース」という3つの柱で動いています。また商品としても、mijinを今年の秋よりオープンソースのデュアルライセンスの商品として、世界展開する準備をしています。
杉井氏:カレンシーポートの杉井と申します。私どもはBCCCとJBAの両方に加入している会社で、BCCCの方では副理事を務めさせて頂いています。その他の活動としては、経産省のブロックチェーン検討委員をやっていました。また日銀の決算システムフォーラムやFinTechフォーラムなどで発表しており、ブロックチェーンに関する公共的な啓蒙をしています。また『ブロックチェーンの衝撃』という本の第4章の執筆を担当しています。