このサービスを提供するにあたっては、ジャパン・ドローンズと共同運営するドローンソフトウェアエンジニア養成塾でソフトウェアエンジニアを育成。育成したエンジニアと共にドローン・自動航行システムを開発し、田畑作物の生育を見える化するために必要な画像データを、精緻にリモートセンシングで取得することが可能となった。
今回の発表までには、北海道旭川市の市川農場、茨城県の拓実の会、千葉県佐倉市の三門農園と協力し、農薬、化学肥料に頼らない米作りにおけるドローン活用を試験的に進めてきた。この結果、北海道の市川農場の場合、「産業用ヘリコプターを利用して農薬散布を行った場合、50ヘクタールあたり150万円の費用がかかっていた。
ドローンは1台200万円で購入できるため、1年間で元が取れる計算になる。さらに、肥料を撒く場合にも、マルチスペクトラムカメラで撮影したデータを活用すると、ピンポイントで肥料が必要な稲はどこか把握できるため、ピンポイントで肥料を撒く場所が分かるようになる。肥料をまくコストを大幅に抑えることも期待できる」(市川農場代表 市川範之氏)とドローン活用、データによる見える化によるコスト削減が期待できると言う。
取得した画像データを効果的に活用していくために、植生解析を行い、航行管理・運用を行うためのクラウドシステムも開発。さらに取得したデータを分析するために、農業者、農学生命科学者との生育状態の圃場内比較分析、他圃場との比較分析を團場マップとグラフを使って数値化するシステムの開発も行っている。
ドローンについても飛行するタイプだけでなく、水面を走行するタイプ「アイガモドローン」を開発し、水中の温度を測って適した対策を打っていく。
勝俣氏はこうしたデータを活用していくことで、「ドローン=農薬散布用というイメージがあるが、データを活用していくことで農薬、化学肥料に頼らない農業を行うことも可能ではないか。農業の市場拡大として、米の新しいマーケットとして日本以外の国への輸出も提案したい。輸出は米のままでは関税が高くなるが、パックご飯に加工することで菓子と同じ税率になるため米のまま輸出するよりもはるかに関税を抑えることができる。今回、協力いただいた3軒の篤農家の方々が作られたお米を使ってドローン米パックご飯を作った」と新しいビジネス展開も想定しているという。
試作品されたドローン米にはQRコードがついていて、ここからお米を生産した田園風景と圃場の風景を動画で見ることができるという。
ドローン米パックご飯