「2015年の調査では17位だった事件『ランサムウェア(身代金ウイルス)による被害(1年を通して)』が、2016年の調査では9位と一気にトップ10に躍り出た。ランサムウェアは感染に成功するだけでインパクトを与えられる。今後は攻撃対象が広がり、モバイル端末やカーナビも狙われる。2016年はまた、ポケモンGOの偽アプリをいち早く作るなど、流行の波に乗るトレンドウォッチャーぶりがみてとれた」
マカフィー セールスエンンジニアリング本部 本部長 櫻井秀光氏
マカフィーは11月10日、企業ユーザーを対象に実施したアンケート調査「2016年のセキュリティ事件に関する意識調査」(第3回)の結果を発表した。「昨年の2015年は、標的型攻撃の1年だった。2016年は、ランサムウェアの躍進や、情報漏えいで信用を失う例が目立つ」と、セールスエンンジニアリング本部で本部長を務める櫻井秀光氏は総括する。
調査では、あらかじめ用意した30件のセキュリティ事件について、知っている事件にチェックを入れてもらうやり方で、それぞれの事件の認知度を調べた。調査対象者は企業ユーザー1552人で、10月8日から10月11日にかけてインターネット調査サービス「マクロミルモニタ」を使って調べた。
2016年のトップ10と認知度、2015年のトップ10と認知度は、以下の通り。
2016年の10大セキュリティ事件ランキング(%は認知度)
- 振り込め詐欺/迷惑電話による被害(1年を通して)51.7%
- 大手金融機関やクレジットカード会社などをかたるフィッシング(1年を通して)36.9%
- 人気のポケモンGOを騙る偽アプリを発見(2016年7月)35.8%
- 公共無線LANのセキュリティ問題(1年を通して)33.4%
- 国際的ハッカー集団「アノニマス」による日本への攻撃(2015年10月~2016年2月)28.9%
- 米連邦捜査局(FBI)が米Appleに対して、銃乱射事件の犯人が使っていたiPhoneのロック解除を要請、プライバシーの問題に注目が集まる(2016年2月)28.9%
- 米Yahoo!で、国家が関与するとみられるサイバー攻撃を2014年に受け、5億人以上の個人情報が流出(2016年9月)28.9%
- JTBで、旅行商品をインターネット販売する子会社が標的型攻撃のメールからマルウェアに感染、最大約793万人分の個人情報が流出した可能性(2016年6月) 28.3%
- ランサムウェア(身代金ウイルス)の被害(1年を通して)28.0%
- 佐賀県で、県立学校の情報システムが不正アクセスを受け、個人情報を含むファイル約15万3000件が漏えい、17歳の少年が逮捕される(2016年6月)21.6%
2015年の10大セキュリティ事件ランキング(%は認知度)
- 日本年金機構への標的型攻撃で125万件の年金個人情報が流出(2015年6月)60.1%
- 振り込め詐欺/迷惑電話による被害(1年を通して)56.8%
- 大手金融機関やクレジットカード会社などをかたるフィッシング(1年3通して)42.1%
- 北朝鮮指導者を題材にした映画公開に際し、米Sony Pictures Entertainmentにサイバー攻撃(2014年11月)37.0%
- 公共無線LANのセキュリティ問題(1年を通して)36.9%
- Flash Playerの脆弱性(1年を通して)35.3%
- 無線LANの「ただ乗り」が全国で初めて摘発され、電波法違反容疑で愛媛県の男を再逮捕(2015年6月)32.9%
- ソニー・コンピュータエンタテインメントの「PlayStation Network」にシステム障害(2014年2月)30.7%
- IP電話の乗っ取り被害(1年を通して)28.2%
- 国土交通省航空局長が、飲酒で寝過ごした電車内でカバン置き引きの被害に遭い、職員連絡網など流出(2015年6月)24.9%