調査

CAD/CAM/CAEシステム市場は機械系と土木・建築系がけん引--矢野経済研究所

NO BUDGET

2016-11-26 07:00

 矢野経済研究所は11月7日、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場の調査結果を公表した。本調査は5月から10月にかけて、同社専門研究員が機械系CAD/CAM/CAEシステム、EDA(Electronic Design Automation)システム、土木・建築系CADシステムの各メーカーに対し直接面談及び電話・メールによるヒアリングを行ったもの。それによると、2016年度の国内CAD/CAM/CAEシステム市場規模は前年度比4.4%増の3449億円の見込みで、分野別では機械系CAD/CAM/CAEと土木・建築系CADがけん引しているという。


CAD/CAM/CAE システム市場規模推移(システムメーカー出荷金額ベース、2016年度は見込値)

 2015年度の国内CAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比2.4%増の3305億円となった。2016年度は円高傾向が続いており、輸出型産業を中心に業績悪化が懸念される一方で、公共投資、経済財政政策の効果などが下支えとなり、設備投資は一定規模を維持するものと考え、3449億円(前年度比4.4%増)と見込んでいる。

 分野別の内訳をみると、機械系CAD/CAM/CAEの市場規模(メーカー出荷金額ベース)が、2015年度は2221億円(前年度比5.2%増)に対し、2016年度は2329億円(同4.8%増)と見込まれている。EDAは2015年度701億円(同4.8%減)となったが、日本国内の電子工業生産がピーク時の約半分と大きく落ち込んでいるのが原因であり、EDAシステムメーカーでは自動車など半導体以外の業界への拡販をすすめていることを加味して、2016年度は727億円(同3.7%増)と回復を見込んだ。また土木・建築系CADの市場規模(同ベース)は、2015年度383億円(同0.8%増)で、2016年度には394億円(同2.8%増)となる見込みとしている。東日本大震災から続く復興需要は現在も高い水準で推移しており、堅調な市況となっているという。

注目はサブスクリプション方式への移行と3Dスキャナ

 機械系CAD/CAM/CAEの分野においては現在、これまでのライセンス販売に代わえて一部でサブスクリプション方式の採用が進んでおり、ビジネスモデルに大きな変化が起こりつつある。このビジネスモデル転換により、市場規模は一時的に減少すると考えられるが、現在この切り替えを進めているのは外資系大手CAD/CAM/CAEシステムメーカーで、国内のユーザー企業が追従するか否かはまだ判断が難しい。サブスクリプション方式の導入はクラウドサービスを通じた提供方法とセットで取り入れられているケースがほとんどだが、現状、国内のユーザー企業は保守的な動きを示しているためである。

 また、日本の製造業の成熟化もあって、これまで成長を続けてきた国内のCAD/CAM/CAEシステム市場のペースが近年になり低下しつつある。今後、CAD/CAM/CAEシステムが市場を拡大していくためには、適用される業務領域の拡大を目指す必要があり、新たなCAD/CAM/CAEの適用先を探すことが重要だと同社は指摘する。その一つが3Dデータ入力における3Dスキャナの活用だ。これまでは、3DCADで対象物の形状を入力していくには専門の教育を受けた人材が不可欠だったが、近年では安価な3Dスキャナが登場しているほか、2Dの写真データから3Dデータに変換する技術も進展してきている。こうした入力技術の進展が、今後CAD/CAM/CAEシステムの適応領域を拡大し、近い将来、新たな市場を生み出す可能性があると同社では考えているという。

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