深層学習で原因を特定へ--アプリ性能監視ソフトの進化:AppDynamics

松下康之

2016-12-01 07:00

 アプリケーションパフォーマンスモニタリングのAppDynamicsが11月13日から17日の5日間、ラスベガスでプライベートカンファレンス、「appsphere/16」を開催した。約2000人の参加者にアプリケーションやインフラストラクチャのモニタリングからビジネスデータのモニタリング、分析などの機能、多数のユーザー事例などを紹介した。

 初日の朝からのジェネラルセッションでは最初にFounder&ChairmanのJoyti Bansal氏が登壇。もともとBansal氏はカンファレンスの公式プログラムには掲載されておらずサプライズの登場となった。


Founder&ChairmanのJoyti Bansal氏

 Bansal氏のあいさつの次に登壇したのはPresident&CEO(最高経営責任者)のDavid Wadhwani氏だ。Wadhwani氏は2015年9月にAdobeからAppDynamicsに移ったベテランで、冒頭から企業が直面しているデジタルトランスフォーメーションについてその必要性を解説。

 その中で導入事例としてイギリスで250年に及ぶ長い歴史を持つ銀行であるLloyds Bankingを紹介。ここでは伝統的な企業であってもデジタルトランスフォーメーションに立ち向かっていること、アプリケーションの性能が直接ビジネスに反映してしまう現実を見せた形になった。

 次に最高技術責任者(CTO)のBhaskar Sunkara氏と交代して、アプリケーションパフォーマンスモニタリングのデモを実施。この辺りは見込顧客向けのイントロという部分だ。


President&CEO(最高経営責任者)のDavid Wadhwani氏

 再度、登壇した Wadhwani氏は協業の例としてServiceNowとMicrosoft Azure上で稼働するAppDynamicsについて説明。これらの協業は既に発表済みのものであったが、北米のエンタープライズの顧客にはAppDynamicsが大手ベンダーとも協業することで信頼を勝ち取ることにはプラスの効果であったように思える。

 次に紹介したのはDixons Carphoneというイギリスの家電と携帯電話販売会社の事例だ。ここでは Wadhwani氏との対話のなかでアプリケーションの性能劣化がビジネスに及ぼす影響について顧客の口から直接語らせることで、エンドツーエンドのシステムモニタリングの重要性について訴えかけた。

 ジェネラルセッションではないが、展示ホールでのミニセッションでカリフォルニアの自動車パーツの販売会社のプレゼンテーションが印象的だった。「各支店では毎日システムを立ち上げて閉店後に落とすんだが、よくあるのは次の日にシステムを立ち上げてみたらうまくいかなかったというトラブルだ。その異常対応をやっていると昼間のビジネスが止まる。だがAppDynamicsを入れてからどのシステムで異常が起こりそうか予測できるようになった。またどこが壊れたのかも直ぐにわかる。これができるとできないでは大きな違いだ」という話だ。

 専門のIT担当が存在しないようなブランチオフィスではシステムを止めないこと、異常をすぐに検知できて対応することが必要な要件であることは十分に理解できる事例であった。

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