Microsoftは、新しい「Microsoft Dynamics 365」のエンタープライズ向け製品の提供を既に開始しているが、中小企業向けのBusinessエディションに含まれる3つのアプリ、すなわちMarketing(マーケティング)とSales(営業支援)、Customer Service(顧客サービス)の提供は2017年以降になる。
マーケティング機能について言えば、同社は大規模企業に対してAdobe Systemsの「Adobe Marketing Cloud」の使用を推奨している一方で、中小企業向けの新たなマーケティングアプリ「Dynamics 365 for Marketing」を開発している。Microsoftはこのアプリについて価格(1ユーザーあたり月額40ドル)と提供時期(2017年春)以外の情報を明らかにしていない。
とは言うものの、CRM分野でMicrosoftのGoldコンピテンシーを取得しているパートナー企業Crowe Horwathが、「プレビュー情報」に基づいてある程度の具体的な内容を公開している。
Microsoftが既に認めているように、「Microsoft Dynamics Marketing(MDM)」製品は既存顧客に対するサポートを継続しているものの、新規販売は終了している。なお、MDMは同社が2012年に買収したMarketingPilotのマーケティングオートメーション(MA)技術に基づいている。
Crowe HorwathのRyan Plourde氏は、同社のブログに「新たなマーケティングアプリは、現在のMDMソリューションよりも設定や拡張がずっと容易になる。ただ、既存のMDMユーザーにとって、移行作業は再実装と同義になるはずだ。基本的な移行ツールは用意されるが、それらは顧客情報や連絡先、管理リストといったマスターデータに限られる」と記している。
Plourde氏は、新アプリでMicrosoftが提供を計画している機能と、MDMの機能を比較し、一覧表にまとめている。
提供:Crowe Horwath
Plourde氏は、これらの機能がまだ変更されるかもしれないと記しているものの、新しいDynamics 365 for Marketingアプリが持つマーケティングリソース管理機能は限定的なものになるようだ。ただし、マルチチャネルキャンペーンやイベント管理、営業面でのコラボレーション、カスタマーインテリジェンス/プロファイリング、カスタマイズのためのより堅牢な機能が搭載される。
この情報についてMicrosoftにコメントを求めたところ、「Microsoftは今回コメントを提供しない」との回答があった。
あらためて述べるとDynamics 365は、同社のCRMソリューションとERPソリューションを再構成して作り直したものと言える。また、Dynamics 365のクラウドサービスは、「Dynamics CRM Online」と「Dynamics AX」に、「Project Madeira」という開発コード名の新たな財務関連の機能を組み合わせたものとなる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。