AWSのアナリティクスとAIの新サービスが大ヒットする理由

Doug Henschen (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年12月13日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:Amazon Web Services

 「Amazon Web Services」(AWS)の最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は、11月末から米ラスベガスで開催されたAWSの年次カンファレンス「re:Invent」で、多くの新サービスや新機能を発表した。アナリティクスや人工知能(AI)関連の新サービスは、他事業者と比べ大きな違いがあるわけではないが、これらのサービスが大ヒットすることはほぼ間違いない。

 Jassy氏は、今回の一連の発表のテーマを、企業にスーパーヒーローが持っているような「スーパーパワー」を与えることだとした。同氏はその例として、超高速のスピードを実現する強力なコンピュートインスタンスや、高コストの商用データベースから「飛び去る」ことを可能にする新しいデータベースサービス、企業の輪郭を「変身」させる新しいIoTサービスなどを挙げた。

 筆者がもっとも興味を引かれたのはあらゆるものを透視する「X線透視能力」をテーマにした部分で、ここではアナリティクスサービスの「Athena」「QuickSight」、人工知能(AI)サービスの「Rekognition」「Polly」「Lex」が紹介された。この記事では、各サービスの概要とそれぞれに対する筆者の個人的見解を記していきたい。

Athena:AWSは大規模構造化データ用の分析サービスとして「RedShift」、大規模非構造化データ用の分析サービスとして「EMR」(Elastic MapReduce)を持っている。そして今回、同社はデータ分析サービスの3本目の柱として、Athenaを追加した。Athenaは「Amazon S3」(Simple Storage Service)上に保存されているデータに対して、SQLを用いた対話的な分析を行うことができるサービスである。たとえばクリックストリームやログファイルなどは、ばらつきがありデータタイプが可変なため、簡単にはデータベースサービスに取り込めない半構造化データであるが、Athenaを使用すれば、EMRよりもシンプルに低コストで分析が行える。クエリの実行時間は、大規模なデータを扱う場合でも1秒未満に収まるとされている。

Athenaに対する個人的見解:このサービスは、便利でコストパフォーマンスの高い選択肢になる可能性が高いが、実際にどの程度人気が出るかや、どんなケースに利用できるかは、SQLで扱えるデータの階層の深さや種類、応用範囲による。つまり、どのタイプのデータに対して、どの種類のクエリがサポートされるかによる。Microsoftが最近発表した、「U-SQL」を使用したクエリを実行できる「Azure Data Lake Analytics」も、これと似た機能を持っているが、「Azure Data Lake」サービス自体も発表されてから日が経っていないのに対し、S3は低コストクラウドストレージとしては古参であり、広く利用されている。つまり、AmazonはAthenaを利用する可能性のある大きな市場をすでに抱えていることになる。

QuickSight:Amazonがこのビジネスインテリジェンス(BI)サービスの一般提供開始を発表したのは2週間ほど前だが、その発表は目立たないものだった。これはQuickSightの最初の発表が、2015年のre:Inventカンファレンスで、鳴り物入りで行われたことを考えれば驚くべきことだ。実際、Amazonは2016年に入ってからはほとんどQuickSightに言及しておらず、筆者の聞いたうわさでは、このプロジェクトがいくつかの問題に突き当たっているからだという。長年の間、多くの事業者がBIを手懐けるのに苦労しているのにはそれなりの理由があり、Amazonが約束していた「すべての従業員が、技術的なスキルに関わらず簡単に使えるBI」のツールを作ることが難しいのも不思議ではない。QuickSightは、AWSのソース(RDS、Aurora、Redshift、またはS3上のカンマ区切りファイル)上にもともと存在する構造化データであれば、数分でデータの関係性を分析し、結果を可視化できる。さらに、「SPICE」と名付けられたカラム型のインメモリエンジンを採用したため、高速なクエリが可能であることも好材料だ。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]