ネットワークセキュリティの要諦

2016年をサイバー攻撃で振り返る--「ばらまき型」「40ドル汎用マルウェア」

林薫 2016年12月19日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2016年もさまざまなサイバー攻撃が話題になりました。今回はパロアルトネットワークスが日本で確認した代表的なばらまき型と標的型攻撃について振り返り、攻撃者の手口と今後の影響を考察します。

ばらまき型--不正送金マルウェア

 「Shiotob(別名 Bebloh, URLZone)」は、2016年に日本で最も多く攻撃が観測されたマルウェアです。このマルウェアはオンラインバンキングの不正送金を目的として2011年頃より登場しており、これまでヨーロッパなどを中心に感染活動が観測されていました。

 2016年1月から日本のユーザーをターゲットにしたスパム活動を多数観測し、パロアルトネットワークスでも2016年11月末までに、日本だけで70の亜種と700万通のメールを確認した、無差別に感染を試みる典型的なばらまき型攻撃です。攻撃者はスパムメールの開封率をあげるため、メール件名や本文を日本語にしているのが特徴です。

Shiotobが添付されたメール
Shiotobが添付されたメール

 メール件名としては多いのは、「写真」や「宅急便受取指定ご依頼受付完了のお知らせ」のように個人をだますようなケースと、企業内のユーザーをだまして開かせるように「発注書」や「作業日報」といった業務に関連したメールを装ったケースがありました。

 メールに添付されているzipファイルにはWindows用実行ファイルが含まれており、それらのファイル名には.pdf.exeや.doc.exeといったようにニ重に拡張子がつけられています。ユーザーがだまされてうっかり開いてしまうと、ShiotobはC&Cサーバ(C2サーバ)にHTTPSで接続し、攻撃者からのコマンドを取得します。

 攻撃者は定期的にダウンロードコマンドを送信し、感染端末上のShiotobは命令に従って追加のマルウェアをダウンロード・実行します。ダウンロードが確認されているマルウェアには不正送金を行うUrsnif(別名 Gozi)と、命令を受けてスパムメールを送信するPushdo(別名 Pandex)があり、一度Shiotobに感染すると、3種類のマルウェアが感染端末上で活動します。またC2サーバは定期的にダウンロードコマンドを発行し、常に最新バージョンのUrsnifおよびPushdoがインストールされます。

 2016年はShiotobが大量にばらまかれていることから、UrsnifとPushdoの感染が大幅に増加していたことが考えられます。一般社団法人日本サイバー犯罪対策センターもUrsnifの大量感染に注意喚起しました。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算