ZDNet OTが目指す方向性、今後のビジョンは?
Lamouche OTはいくつかあるビジネスユニット毎に戦略を立てています。ただし共通していることはイノベーション、常に最新のイノベーティブな製品を提供することです。ペイメントに関しては、凸版印刷と協業したOT MOTION CODEを見てもらえば分かるように、店頭でカードを使うのではなく、インターネットでモノを買う時のようにカードの情報を入れるだけでペイメントが終わる「Card Not Present」という場合があります。
この際にクレジットカードの裏に記載されているセキュリティコードを一定時間毎に変えるというのがOT MOTION CODEです。このようなイノベーションを起こすこと、これが最初のストラテジーですね。
根津 このMOTION CODEのカードは一定時間ごとにその3けたの数値が変わります。そのカードの中にチップとバッテリが格納されていて、カードの有効期間までは変わり続けます。それはカードのアイデンティティを保持しているサーバ側と完全に同期しているので、もしもだれかがこのカードの写真をとって不正に使用しようとしても、情報を盗んでから不正利用するまでにはコードが変わってしまいます。
ですので、どの時点で盗まれたのか?まではっきり追跡することもできるのです。表示する部分は電子ペーパーの技術を使っていますので電力消費は非常に少ないので最低でも数年は保つわけです。
Lamouche 他にもカードそのものが6ケタのワンタイムパスワードを発生させることができるカードもあります。これはこれまで専用の端末が必要だったものをカードに一体化させたというイノベーションですね。われわれはこのようなイノベーションを常に起こし続けるために買収も積極的に行っています。先ほどのOT MOTION CODEはCODEはディスプレーカード事業大手のNagraIDを2014年にマージしたことに大きく関係しております。
最新のニュースとしてはヨーロッパのID、認証技術の大手企業であるMorphoの独占交渉に入ったことを発表しました。例えば、指紋認証機能が付いたスマートカードを開発していますが、これはPINが必要な場合にPINではなく指紋によって認証を行うものです。こういった先端技術も専門的な技術力を持った事業者と一緒になることにより、バイオメトリクス技術などの基礎技術を強化し、市場の先駆者として常にイノベーションを起こしていくつもりです。
根津 ただし選択と集中を行う場合もあります。例えば中国は、非常に安い価格でスマートカードを製造している中国の国内企業が多くあり、非常にコンペティティブな市場と言えます。そこではOTはあえて価格の勝負を止めて、もっと付加価値の出せる市場を優先するようにしました。これまでは「Volume」(量)の戦略だったものを「Value」(価値)の戦略に変えた、ということですね。