ユーザー体験と内製化の関係

「コスト」からは導かれなかった内製化--本気でユーザーに向き合う経営と開発

内波生一 2017年01月16日 07時00分

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 マネーフォワードで「アカウントアグリゲーション」の開発を担当している内波です。

 本連載第1回の記事でも説明されましたが、アカウントアグリゲーションとは、異なる金融機関の複数の口座情報を一元管理する技術/サービスのことで、われわれのコア・テクノロジの一つでもあります。

 今回は、私が所属する組織の役割を例にとりながら、第1回の内容をより深掘りする形で、コア・テクノロジの開発プロセスをご紹介します。

「コスト」からは導かれなかった内製化

 私の所属する組織はその名も「アカウントアグリゲーション本部」という、まさにアカウントアグリゲーションそれ自体の名を冠したものです。

 ユーザーは、このアカウントアグリゲーションサービスを利用することにより、さまざまな銀行・証券会社に預け入れている金融資産残高や、複数のクレジットカード・電子マネーの利用履歴、さらにはインターネット通販の購入履歴などを一元管理することができ、自身のお金に関わる情報を、一目で把握できるようになります。


アカウントアグリゲーション技術のイメージ(マネーフォワード提供)

 仕組みはいたってシンプルです。各種金融機関がインターネット上で公開している、インターネットバンキングやウェブ明細サービスといったサイトに保存されているユーザーのデータを、そのユーザーの代理となって収集する「ロボット」のようなものです。今まで各サービスにログインし、IDを入力してデータを確認する、といったユーザーがひとつひとつ手で行っていたようなことを、自動化して実現しています。

 アカウントアグリゲーション自体は、当社がサービスを開始するよりもずっと以前から存在していた技術であり、先行プロダクトを含め、それを利用したさまざまなサービスが存在しています。また、それらサービスは、アカウントアグリゲーション機能を自社でまかなっているものと、社外で提供される機能を利用しているものに分かれ、当社は前者にあたります。

 しかし、もし私が所属する組織の目的が、単に「データを集める」だけにとどまったものであるならば、おそらく早々に、自社での内製ではなく外部のエコシステム利用に切り替わっているはずです。事実、会社の立ち上げ時にはその選択肢も当然検討されました。

 「ウェブサイト上のどこにどういうデータが表示されて、それをどう解釈して……」という時点で、すでに他の誰かが作ったものと同じような機能を自分達で作ったとしても、その機能を得るための価格をコントロールできる、すなわち「安くすむ」以外の大きな価値がないためです。それでも、私たちがそれを内製している理由、それは当社の存在意義と価値観から導かれます。

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