筆者は、世界保健機関(WHO)の最高情報責任者(CIO)Marc Touitou氏にインタビューした。
Touitou氏はインタビューのなかで、WHOのCIOとしての優先事項について説明してくれた。同氏の主な活動には、チェンジエージェント(変革に向けた仲介者)としての働きや、プロセスを作り上げるとともに、テクノロジがどのようにWHOの中核任務を支援していけるのかという期待を醸成していくための支援が含まれている。同氏は以下のように説明している。
われわれはさまざまな地域に展開し、さまざまなニーズを抱える複雑な組織だが、われわれをまとめ上げるものごとを見極める必要がある。緊急度が最高である「グレード3」の事態に直面した際には、適切な人材を見つけ出し、適切なスキルを洗い出し、スキルを持つ要員を割り当てることが組織のプロセスとして求められる。採用し、指示を出し、現地に展開し、管理し、撤収する。この一連の行動を再び繰り返す。これは簡単に聞こえるかもしれないが、そうではない。また、同じことが補給品やワクチン、長靴、大量の消毒液などの管理にも当てはまる。緊急事態に対してはそうしたことから備えておく必要がある。
WHOは、テクノロジインフラを構成する重要な要素として、情報の可視化を実現するためのグローバルなコマンドセンターを構築した。国際連合は2016年に「Protecting Humanity from Future Health Crises」(将来の健康危機からの人類の保護)というレポートのなかで、このようなコマンドセンターの構築を推奨している。
こういったコマンドセンターは、WHOが世界中の疾病のアウトブレイクを、Touitou氏が「ナチュラルパートナー」と呼ぶものからのデータフィードに基づいて管理するうえで大きな力となる。
こういったパートナーはWHOとともに、サプライヤーや貢献者と協力しあって救援活動を実施する組織となる。すべての適切なプレーヤーがコマンドセンターへのフィードに貢献するのが理想だ。
私は世界中のすべての保管倉庫を把握したいと考えている。そこにどれだけのものが保管されているのかを把握し、それらにすべての給水所(情報)を重ね合わせ、半径25マイル(約40km)以内に病院がいくつあるかや、どのようなヘルメットが保管されているのかを知りたい。メディアセンターからの情報の流れと、それを重ね合わせられる地図があれば、指先1本でほぼリアルタイムに、必要となるすべての基盤情報が得られる。
現時点でそういったことが完璧に実現されたコマンドセンターは存在していないものの、WHOはその目標に向けて積極的に活動している。これは、エボラ出血熱やジカ熱といった疾病のアウトブレイクに対する迅速な対応が最終的な主眼となっているため、実現するのは容易ではない。
提供:Photo from NPR
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。