IT業界では「DevOps」というキーワードが流行しているが、新しい調査によれば、多くの企業は現在のところ、まだDevOpsに戦略的な効果があるとは考えていないようだ。むしろ、ITに関する取り組みで戦略的価値が高いと考えられているのはSaaS(サービスとしてのソフトウェア)であり、アプリケーション開発では「クラウドファースト」戦略がもっとも重視されている。
これらは、F5 Networksが実施した新しい調査で得られた結論の一部だ。この調査では、2197人のIT部門担当役員やプロフェッショナルを対象として、DevOpsやセキュリティアプリケーションサービス、標準など幅広い話題について質問している。
調査によれば、DevOpsに「戦略的な効果」があると答えた回答者は20%にすぎなかった。多くの意味で、DevOpsは依然として、事業を後押しするものというよりは、IT部門の改善プロジェクトや、ソフトウェアの開発とリリースを合理化する戦術的な取り組みと認識されていることが多いとみられる。
DevOpsは製造業の企業文化に根差す部分があることを考えれば、この見方はいずれ変わるかもしれない。トヨタ自動車などの成功した企業が、高品質な製品を素早く提供するためには、生産に至るスケジュールの中で、設計者とエンジニアが協力して活動する必要があることを学んだのは、かなり前のことだ。
DevOpsを戦略的取り組みだとみなす回答がもっとも少なかったのは、役員レベルの回答者で、DevOpsをビジネス戦略の1つだと捉えているのはわずか17%だった。役員レベルの回答者は、戦略的に効果があるITの取り組みとして、SaaS(42%)、ビッグデータ(41%)、IaaS(39%)を挙げている。
DevOpsやクラウド関連の業務に就いているスタッフレベルの回答者は、39%がDevOpsを戦略的な取り組みだと捉えており、これはSaaS(44%)、ビッグデータ(42%)に次ぐ3番目に多い回答だった。レポートの著者は、「企業が少なくともDevOpsの自動化とオーケストレーションの側面には取り組んでいるにも関わらず、このような結果が出た」と述べている。
DevOpsの取り組みに1つ以上のフレームワークを使用していると答えた回答者は2016年に倍増し、約20%から50%弱まで増加した。フレームワークの導入理由としては、規模の拡張性や、運用経費の削減が挙げられている。ユーザーによく利用されているDevOpsのフレームワークプロバイダーは、VMware(57%)、Cisco(37%)、OpenStack(24%)、Python(20%)、Puppet(13%)、Chef(9%)などとなっている。
提供:Joe McKendrick