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映画を変革するCG技術(前編)--心配性のバットマン

稲田豊史 2017年01月28日 07時00分

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 前回、「ハリウッド映画に使われるCGが芸術そのものではなく、物語を支援する役割を担っているにすぎない」と書いた。今回はそのことについて、もう少し掘り下げて考えてみたい。

 映画に使われるCGと聞いて、まず浮かぶのはSFやファンタジーの類ではないだろうか。異形の怪物や異星人、ダイナミックな自然現象、現実の物理法則では動かすことのできない架空の乗り物、巨大な建造物などは、CGの独壇場だ。

 本連載でも言及した「マトリックス」シリーズ(1999年、2003年公開)や、2016年スピンオフである「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が公開された「ハリー・ポッター」シリーズ(2001年~)などは言うに及ばず。「スパイダーマン」「アベンジャーズ」シリーズなどに代表されるド派手なアメコミ映画も、画面じゅうをCGが覆い尽くしている。

 CGの爆発的進化が特定の作品でビッグバン的に達成されたケースも少なくない。「ジュラシック・パーク」(1993年)の(当時としては)超リアルな恐竜CGや、「トランスフォーマー」(2006年)のメカ変形CGなどは、「映像革命」という枕言葉とともに、よく語られる。


UT-Heart」の動画

 映画業界におけるCG技術は、コンピュータのCPU性能が劇的に向上し、ストレージ容量が急速に増大した1990年代以降、飛躍的な進化を遂げた。それゆえ、90年代以降の映画業界では、「VFX(視覚効果)」が限りなく「CG」と同義語になっていくことになる【*】。2017年現在も、ストレージの進化が停滞する気配はない。

 さらにいうと、高度に進化したCGの使いみちは、エンタテイメントに留まらない。たとえば、世界最大のCG技術コンテスト「SIGGRAPH Computer Animation Festival」には、ハリウッド御用達のCG制作スタジオの出展が常連となっているが、2015年に「BEST VISUALIZATION OR SIMULATION」賞を受賞したのは心臓の動きを実際のデータに基づいて可視化した「UT-Heart」だった。CGは今や娯楽としての「すごい映像」というだけではなく、科学や医療の発展に役立つものになっているのだ。

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