海外コメンタリー

症状が出る前にAIが診断--IBMが取り組む医療の変革

Jo Best (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2017年02月07日 06時30分

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 死に至る可能性のある病気を最高水準の検査施設よりも早く診断できるチップ、錠剤を詳しく調べ、分子構造を比較して本物の薬か偽薬かを判別できるカメラ、患者の言葉遣いから精神疾患の有無を特定できるシステム――IBMは今後数年の間に、人工知能(AI)と新たなハードウェアを組み合わせることで、これらすべての技術を実現しようとしている。


病気の早期発見に使われるシリコンウエハ。体液に含まれる生体粒子を検査できるよう設計されている。
提供:IBM Research

 IBMの研究所は、同社がすでに持っている機械学習システムとAIシステムを、改良されたシリコンやミリ波位相配列センサなどの新たなハードウェアと組み合わせることで、これらのアイデアを本格的な医療ツールとして実現するという。

 ミリ波位相配列センサは、可視光から得られる映像だけでなく、人間が感じ取れない領域の電磁スペクトルの情報も捉えることができる。同社はこれを使って、「ハイパーイメージングシステム」を作ろうとしている。

 この情報と高性能カメラやその他のセンサを組み合わせることで実現されるハイパーイメージング技術は、臨床医が分子レベルで錠剤を調べて、安全な薬なのか、数十億ドル規模に達する偽薬マーケットで流通する錠剤かを判断することを可能にする。IBMの技術理事でディスティングイッシュト・エンジニアのRashik Parmar氏は、米ZDNetに対して「従来から使われている光スペクトルだけでなく、ほかの電磁放射も利用することで、従来は得られなかった多くの手がかりを与えてくれる、はるかに情報が多いイメージを作ることができる」と語った。

 ハイパーイメージングの製品化に必要なハードウェアはすでに存在するが、システムを市場に送り出せるようになるまでには、まだ多くの作業が必要だという。「電磁スペクトルのその他の領域を感知するセンサはかなり前から存在するが、まだセンサの単純化と小型化が必要であり、コストを下げる必要もある。さらに、センサの情報を解釈して、人間が理解しやすい形で可視化するためのコグニティブアルゴリズムの開発も進めなくてはならない。今はまだかなり複雑なデバイスしか作れないが、小型化が可能になるまで長くはかからないだろう」とParmar氏は付け加えた。

 ハイパーイメージング技術はまず自動運転車に組み込まれる形で市場に出る可能性が高そうだが(その背後でAIが情報を処理し、付近の物体が回避すべきリスクか、無視できる路上の公共物かを判断する)、いずれ医療機器でも利用されるようになるはずだ。例えば、歯科医がハイパーイメージングを利用すれば、ある歯に問題があるか素早く判断したり、一般的なレントゲン写真で得られる情報を補強したりすることができる。

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