55万人のメンバーを抱える、Linux業界でも屈指の規模を誇るグループLinuxQuestionsで、Linuxディストリビューションや主要なオープンソースプロジェクトの人気投票が行われ、結果が発表された。もっとも人気が高かったデスクトップLinuxは、「Slackware」だった。
この結果を聞いて驚いた人もいるだろう。今回の調査では、最も古くから存在するLinuxディストリビューションの1つであるSlackwareが、16%強の票を集めた。
あらゆるLinuxディストリビューションを網羅するDistroWatchで人気ランキングの上位を占めているのは、過去12カ月の集計では「Mint」や「Debian」「Ubuntu」「openSUSE」「Manjaro」などで、Slackwareの順位は19位となっている。
Linuxユーザーは、デスクトップ環境について議論するのが好きだ。デスクトップ環境部門では、「KDE Plasma Desktop」が紙一重の差で軽量デスクトップ「Xfce」を上回って首位となった。「Cinnamon」や「MATE」などのほかのよく言及されるデスクトップ環境は、驚くほど得票が少なかった。かつて絶大な人気を誇った「GNOME」は、「GNOME 2」から「GNOME 3」への移行時に行われたデザイン変更で落ちた人気を回復できていない。
サーバ部門で1位となったのは、Red Hatのコミュニティビジネス版Linuxディストリビューションである「CentOS」だが、これは当然だろう。CentOSは基本的にサポート契約費用がかからない「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)であるため、Linuxに詳しい企業の間では古くから人気があった。実際、筆者はRed Hatのスタッフから、RHELの最大のライバルはCentOSだと聞いたことがある。そのあとには、Debian、Slackware、Ubuntuが続く。
モバイルOS部門では、「Android」が68%超もの圧倒的な支持を集めた。同部門の2位は、最近提供企業がサービスを終了したAndroidクローンの「CyanogenMod」だった。オープンソースのモバイルOSはほかにも存在しているが、すでに開発中止になったか(「Firefox OS」など)、まったく人気を得ていないか(「Ubuntu Touch」など)のどちらかだ。
オフィススイート部門でも、「LibreOffice」が89.6%の得票率で圧勝を収めた。この結果も驚くには当たらない。競合する可能性のある相手は、元になったプロジェクトである「OpenOffice」だけだが、こちらは現実的には幕切れを迎えてしまっている。
Linus Torvalds氏がLinuxを生み出す前から続く、この業界で終わることのない議論の1つに、「vi」およびその現代版クローン「vim」と、「Emacs」の比較がある。驚いたことに、今回の調査ではvimがEmacsに圧勝した。