膨大な量のデータから最大限の価値を引き出す最善の方法の1つに、オペレーショナルインテリジェンス(OI)システムの実現がある。以下では、運用データにビッグデータアナリティクスを適用する方法について解説する。
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ビッグデータの3つのV、すなわちボリューム(Volume)、速度(Velocity)、多様性(Variety)のなかで、最大のものは文字通りボリュームだ。大量データの処理は、ビッグデータアナリティクスにおける真骨頂と言える。ボリュームは必ずしも最も重要というわけではなく、最も困難というわけでもないが、適切に活用すれば戦略上の大きな転換点を生み出せる。
戦略的な優位性を確保するために大規模なデータを活用する方法は数多くあり、運用データは筆者が好むものの1つだ。筆者は競争力という観点からビッグデータを次のように定義している。それは、高速に移送され、自由に利用可能であり、市場において価値ある、そして比類なきニーズを満たす可能性があるものの、マイニングは極めて高価かつ困難な大量のデータというものだ。また筆者は、運用データの大きな魅力として、自社にとって自由に利用可能でありながら、競合他社はまったく利用できないという点があると思っている。以下では、自由に利用できる大量の運用データに潜む真の価値について述べてみたい。
OIについて知っておくべきこと
筆者が、世界各地に自社の加工工場を有している大手の農業・食品企業であるCargillのリーダーたちと共に仕事をしていた時の話だ。われわれはOIについて、そしてCargillにとってデータ基盤の拡大がいかにメリットをもたらすかについて、興味深い議論を交わした。
筆者はもともと、ビジネスインテリジェンスやデータウェアハウスのコンサルタントであったため、OIを運用関連のデータストアから自然発生的に出てきたものだと捉えていた。その後、マネジメント関連のコンサルタントとして仕事をするようになった際、よりビジネスオペレーション指向の観点に立ち、価値ある情報によってその機能を実現できると考えるようになった。これら2つの考え方は互いに相反する関係にあるわけではないが、観点の変化は言及しておくに値する。
理解しておくべき重要な階層がある。個々の組織単位(工場や施設、現場など)から収集されるデータはサイトインテリジェンスと呼ぶことができる。するとOIは、ビジネスオペレーションを構成するすべての組織単位から収集されるサイトインテリジェンスの集合体として捉えられるようになる。そしてOIを、販売やマーケティング、財務、顧客サービスといったその他の基幹ビジネス機能と組み合わせることで、真のビジネスビジネスインテリジェンスが入手できるようになる。つまり企業にとってのOIは、戦略の成熟度を表す重要なポイントだと言える。
企業戦略におけるOIの重要性
OIは幅広い知識、すなわち企業におけるアナリティクスの成熟度を推し量る、重要かつ到達の難しい通過点を意味している。世界各地に1000のサイトを有しており、各サイトがそれぞれの運用データを収集、処理、分析している場合、あるサイトが知り得るのはそのサイトの中のデータに限定される。これが一般的な状況だ。というのも通常、サイトのマネージャーは、担当している工場の生産性目標を達成するうえで最も有効となるかたちでデータを管理しているためだ。