製薬会社の雑務を代行して新薬開発のスピードを向上
飯室氏が成果を売った事例も紹介した。このうちの1つが、製薬会社の事例だ。ある製薬会社では、研究者500人の時間の20%が、装置のメンテナンスなどの雑事に使われていた。500人に対して分析装置は5000台あり、1人が10台の面倒を見ていた。故障しても同じ機械がどこに置いてあるのか分からないので、治すまでは使えなかった。
飯室氏は、それまでは研究者が自らやっていたメンテナンスや故障時のメーカーへの見積もり作業などを代行するビジネスを提案。新薬開発のスピードを上げるというゴールにたどり着くためだ。この提案を社長は大絶賛した。一方、現場の研究者は大反対でボイコットした。全員が受け入れるまで3年を要したという。
年間の修理費などで浮いたコストを利益とした。この提案は結局、製薬会社8社の半分に導入した。「ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)だった」(飯室氏)。