OpenStack第15版「Ocata」が例外的に早くリリース-中核機能強化

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2017-02-23 11:57

 「OpenStack Ocata」が米国時間2月22日にリリースされた。オープンソースのクラウドソフトウェア「OpenStack」の15番目となるこのバージョンは例外的に、通常のスケジュールよりも2カ月ほど早くリリースされた。Ocataでは、中核となるコンピュート機能とネットワーキングサービスの安定性やスケーラビリティ、パフォーマンスの向上に重点が置かれている。

Ocata

 以下は、Ocataで注目すべき点だ。

  • 「Nova」(コンピュートコンポーネント)の新たな「Placement API」は、アプリケーションの要求に基づいてリソースを知的に配置できるように支援する。また、Novaのスケーラビリティを向上させるために、「Nova Cells v2」がデフォルト設定となっている。
  • 「Horizon」(ダッシュボードコンポーネント)が、「OSprofiler」の新たなユーザーインターフェース(UI)であるKeystone-to-Keystoneフェデレーションをサポートするようになった。結果として、オペレーターはOpenStackサービス全体を俯瞰し、パフォーマンス上の問題を検知できるようになる。
  • 「Keysotone」(ID認証のコンポーネント)では今回、プロジェクトの自動生成を動的に実施できるようにした。また、フェデレーションユーザーに対して、認証に成功した上で役割を付与できるようになった。
  • 「Ironic」(ベアメタルサービスコンポーネント)はネットワーキング機能やドライバの改良により、さらに堅牢になっている。
  • 「Telemetry」プロジェクトにおけるパフォーマンスの大幅な向上とCPU利用の大幅な改善が実現されている。「Gnocchi」ストレージエンジンを用いた「Ceilometer」の採用により、1秒あたり数百万単位でメトリックを格納できるようになっている。
  • 「Cinder」(ブロックストレージコンポーネント)の「Active/Active HA」構成がドライバによって実装できるようになっている。
  • 「Congress」(ポリシーエンジン)のガバナンスフレームワークにおけるポリシー記述言語が拡張され、ネットワークやセキュリティのガバナンス強化に向けたネットワークアドレスオペレーションが可能になっている。

 またOcataでは、ネットワークレイヤにおけるコンテナベースのアプリケーションフレームワークに対するサポートが強化されている。さらに、OpenStackサービスのコンテナ化も可能になっている。各サービスをマイクロサービスアプリケーションにすることで、OpenStackの配備や管理が容易になる。

 OpenStackは、コンテナベースのアプリケーションフレームワークや配備ツールへのサポートも引き続き強化している。特に、「Kolla」(コンテナ化されたOpenStackサービス)や「Kuryr」(コンテナのネットワーキングやストレージとの連携)、「Zun」(コンテナ管理)といったプロジェクトはコントリビューターが増加している。

 また、新たな「nova-status upgrade check」コマンドにより、運用担当者は既存配備の状態をテストし、Ocataへのアップグレードが問題なく実施できるかどうかを確認できる。安全にアップグレードできない場合、対処すべき事項が列挙される。これは極めて重要な機能だ。

 Ocataのダウンロードとより詳細な情報については、OpenStackのOcataページにアクセスしてもらいたい。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]