「サイボウズは、売上高や利益よりも、利用者数にこだわり、LinuxやFacebookのように世界で使われるサービスを目指している」としたほか、「他社のメガIaaSの活用については、顧客からの要望では、そこまで出ていない。むしろ、これまでの投資を考えると、自社でやった方がコストメリットがある。IaaSの動向には注視しており、いつでも移行できるように準備はしている。実際、メガIaaSは社内でも使用している。だが、急いで対応しようとは考えていない」としている。
一方、説明会の冒頭に、青野社長は、2016年度の業績などに触れ、「2016年度は、クラウド関連サービスの売上高が初めて全体の5割を超えた。計画では、5割は突破しないと考えていたが、予想以上にクラウドが伸びた。一方で、引き続き、クラウド関連サービスの広告宣伝に積極投資したが、使いきれなかった分が利益になった」と総括した。
サイボウズが発表した2016年度(2016年1月~12月)連結業績は、売上高が前年比14.6%増の80億3900万円、営業利益は前年のマイナス3億8100万円の赤字から黒字転換して、5億1500万円。経常損益は前年のマイナス3億3800万円の赤字から5億8700万円の黒字に転換。当期純損益は前年のマイナス2億1700万円の赤字から3億500万円の黒字になった。クラウド関連サービスの売上高は前年比49.2%増の40億5000万円。同サービスの売り上げ計画は38億8000万円だった。
「一昨年度は赤字の計画を立てて、その結果、赤字になったことを威張ってみせたが、昨年度の業績は、普通に黒字になってしまい、面白いところはない」などと、ジョークを交えてコメント。また、サイボウズOfficeが過去最高の売上げを達成したことにも触れ、「2000年に上場した時には、一気に販売が伸びたが、その後は思うように売れず、長く苦しんだ。維持するのが精一杯の状況だった。だが、2011年にクラウド対応を図り、風向きが変わった。それまではメールの手軽さに押され、グループウェアはなかなか使われなかったが、モバイルで、いつでも常時接続するといった使い方が増えたこと、ウェブベースのサービスを活用するケースが増えたことで、クラウドベースのグループウェアが利用されるようになってきた。グループウェアは、これからまだ伸びるだろう。製品発売から約20年を経過して、ようやく本当の創業期がやってきたともいえる。ずっと助走していたような感じだ」などと、今後の事業成長に意欲をみせた。
サイボウズOfficeでは、過去にグループウェアの導入経験がなかった新規企業の導入が5割を占めており、「ホワイトカラー以外の領域にもグループウェアが入り始めている。グループウェア導入企業の裾野が広がっている」とした。