- David Hockney(イギリス: 1932年)
79歳の現在でもなお第一線で活躍している巨匠でありながら新しいメディアへの作品も積極的に取り組んでいる。
上記の2人は表現手段としてコンピュータをツールとして使用しているアーティストである。
テクノロジで新たな表現を発明したアーティストたち
さて、続いては新たに開発されたテクノロジの使い方をアーティストたちが切り開いてきた事例を紹介しよう。
1944年生まれのオーストラリア人、Jeffery Shawが1989年に発表した「Legible City」という作品は観客が自転車の形をした機械にまたがりハンドルを操作してペダルを漕ぐことで、画面に投影された架空の都市を自由に巡る体現型の作品である。身体の動きをインターフェースとして使いコンピュータを通じて画面に反映させるものである。
この作品、任天堂が2006年に発売したコンピュータゲーム機「Wii」と良く似ている。
驚くべきことはWii発売の17年も前に世の中に登場していたのである。
そしてArt+Com(1988年設立のドイツ人によるアートユニット)が1994年に発表した「Terravision」 は衛星写真をシームレスにつなげた地球を巡ることのできる作品である。
なんと2005年に登場したGoogle Earthと同じ技術を10年以上前に実現していたのである。
注目度の高い技術である「VR」も、20年以上前にすでにアーティストによって作品化されている。
1954年生まれのカナダ人、Char Davisが1995年に発表した「Osmose」がそれである。
当時は一部の人のみしか知らなかった最先端のテクノロジをモチーフ(題材)にして作品を作り、実用のためのプロトタイプをも作っていたことが驚きだ。
まさにアーティストは発明家でもあるのだ。
新しいテクノロジやメディアの登場によって変質したわれわれの感覚や社会のありかたを、アーティストたちは鋭敏にとらえてきたのである。