ユーザーの「注意力」を無駄遣いさせない
ユーザーがミスを起こす直接の原因は、見落とし、勘違い、注意がそれていた、などである。
それらを防ぐにはユーザーにはいわゆる「注意力」「集中力」といったものが求められるが、これらは人間にとって限られた資源のようなものであり、いくらでも/いつまでも使えるわけではない。
また、あまり1点に集中しすぎると視野が狭まってかえって他が見えなくなってしまうということも起こる。
もちろん個人差も大きい。
「間違いやすいUI」は、「間違いにくいUI」よりもユーザーに余計な注意力を要求すると言える。
いわば、注意力が無駄遣いされるのである。
限られた注意力が無駄に使われると、他の部分への注意が削がれてしまいそこ以外でミスを起こしてしまう可能性も上がる。
逆に、適切な情報デザインがなされ、適切にユーザーの視線や注意を誘導するように設計された良いUIであれば、必要な注意力は少なくてすむ。
例えば、通常と違う操作には、通常と違う種類のフィードバック(例えばボタンごとに押したときに鳴る音が違う)などを返し「通常と違う」ことに気づきやすくする、というようなことができる。
「注意力」に余裕があれば、他の部分にも注意を払いやすくなる。
なお、「適切にユーザーの注意を誘導」の部分が欠けすぎると、注意力が他の部分だけに向いてしまい、見落としなどが生じやすくなる。
例えば、メールの誤送信防止のために「送信」した後に改めて宛先一覧などを表示して確認を促すようなアプリケーションがあるが、表示の仕方などのUIをうまく設計しないと、(特に慣れてくると)確認がおざなりになり意味をなさなくなってしまう。
ミスにつながる大きな要因の一つであるので、ユーザーが油断しすぎず、適度に緊張感を保てるような配慮が要る。