リオデジャネイロ五輪とパラリンピックが終わり、4年後の2020年には東京五輪、パラリンピックが開催される。東京には既に外国からの観光客が多く訪れているが、2020年にはさらに多くの人々が多くの地域から訪れるであろう。
「訪れる」側の立場に立ってみると、よその国に行った際に遭遇するさまざまな文化やルールの違いが、おもしろくもあり、また当然困ることでもある。筆者もさまざまな海外の街に行ったことがあるが、どこの街に行っても苦労するのが、「その街の中の移動における主力の交通機関の利用方法」の把握である。
バス、路面電車、地下鉄など、まず何が主力であるかがまちまちであるし、料金をどう払うか、いつ確認されるかなどのバリエーションがとても多い。料金に関しては間違えるとペナルティを受ける恐れもある。今回はそれらのバリエーションと、それによりもたらされるユーザーエクスペリエンス(UX)を考えたい。

料金を精算する方法
都市部に住んでいる人であれば電車やバスなどの公共交通を利用する機会は多いであろう。複数の種類の公共交通を利用する人も多いかと思うが、それぞれどういうタイミングで料金を払ったりそれを確認されたりしているか、どれだけのバリエーションがあるかを思い出してみていただきたい。
普段の生活の中に溶け込んでいるとあまり意識されないが、あらためて思い返してみると、いろいろなパターンがあり、意外と複雑なことに気がつくであろう。料金の払い方に関してならたとえば、乗るときに払うのか、降りるときに払うのか、といったことや、一定金額なのか、乗る区間に応じて変わるのか、先に払う場合なら乗り越すときはどうするかなどがある。
他にも、1回ごとのチケットか、回数券か、一日乗車券的なものか、定期券か、プリペイド方式か。プリペイドならどうやってチャージするのか、それとも追加でチャージはできないか。自動精算か、自分で払う額を選択するのか、といった要素もある。
そしてそれらは、わかりやすく示されているだろうか。適切に把握するためにはどれくらいの前提知識を必要としているだろうか。