Oracleは米国時間3月29日、IaaSプロバイダーとしての位置付けを強化する新たなサービスの展開を発表した。このサービスはパブリッククラウドサービスと、高性能なオンプレミス上のストレージを直接融合するという、競合他社にはまねのできないものだ。
具体的にはこのサービスは、「Oracle Storage Cloud」と、高い性能を誇る「Oracle ZFS Storage Appliance」に搭載されている「Oracle ZFS Cloud」ソフトウェアを連携させるというかたちで実現される。
OracleのストレージおよびクラウドのIaaS担当バイスプレジデントであるSteve Zivanic氏は米ZDNetに対して、「われわれは、『iPhone』を手にとってクリックするだけで『iCloud』が使えるようになるのと同じくらい、クラウドストレージを実質的にシンプルなものにした」と語っている。
同氏は、ハイブリッドクラウド戦略を採用する企業が増加しているものの、そうした企業は「それが(ストレージプロバイダーによって)いかに複雑なものにされているかを理解していない」場合も多いと述べている。
他のパブリックプロバイダー(大手としてはAmazonやGoogle、Microsoftが挙げられる)は高性能のオンプレミスストレージを提供していない。一方、日立製作所やHewlett Packard Enterprise(HPE)といったオンプレミスストレージプロバイダーはパブリッククラウドサービスを提供していない。
その結果、顧客はハイブリッドクラウドソリューションを構築するために外部クラウドゲートウェイを購入しなければならなくなっている。また大抵の場合、顧客自身のインフラプラットフォームからパブリックストレージにアクセスするための権利を、「クラウドに対するアクセスライセンス」という名目でハードウェアベンダーから購入することになる。
Zivanic氏は、「これによって価値が付加されるわけではないため、人々はより直接的な道を模索し始めている」と述べている。
またZFS Cloudは、オンプレミス環境とクラウド環境をサポートするための一貫したセキュリティ要件とサポートチーム、標準、スキルセットを使用できるようにすることで、企業のインフラ管理を合理化できる。
Zivanic氏は「データの遅延や破損、損失が発生した場合、(中略)われわれはオンプレミスのデータセンターからパブリッククラウドに至るまでの複数のPoP(接続拠点)から問題を選別できる」と述べている。これに対して、顧客が複数のクラウドを管理するというアプローチを採っている場合、分断化されたサポートしか期待できないだろう。パブリッククラウドのプロバイダーは、オンプレミスのデータセンターに対する可視性を有していないのだ。
また同氏は、「われわれはハイブリッドITを真の意味で統合しようとしている。これは、各パーツを分解してその重荷をシステムインテグレーターとなる顧客に背負わせるのとはまったく逆のことだ」とも述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。