IDC Japanは4月5日、AR/VR(拡張現実/仮想現実)ヘッドセット市場における2016年の国内/世界出荷台数および世界市場予測を発表した。
これによると、2016年の世界全体でのAR/VRヘッドセット出荷台数は1010万台で、2021年にはほぼ10倍となる9940万台に達すると予測されている。また、同市場の2016年~2021年の年間平均成長率は58%としている。
国内市場では、2016年通年のAR/VRヘッドセット出荷台数は11万7000台だった。内訳はARヘッドセットが約7000台、VRヘッドセットが約11万台。また2016年第4四半期(10月~12月)の同出荷台数は、エンタープライズ用途を含め約9万台としている。VRヘッドセットの出荷台数では、ソニーの「PlayStation VR」が91.3%(約8万1000台)を占め、デジタルショールームやイベントなどエンタープライズ用途でのGear VRの利用が目立つサムスンは5.5%(約5000台)となった。サムスンの出荷台数のうち、エンタープライズ用途は約4割だった。
2016年 国内VRヘッドセット出荷台数 ベンダー別シェア
2016年第4四半期 国内VRヘッドセット出荷台数 ベンダー別シェア
世界総売上高では、ARヘッドセットの2016年推定値は2億900万ドル。2021年には487億ドルに成長すると予測している。また、VRヘッドセットの同売上高は2016年の21億ドルから2021年は186億ドルに成長すると見込まれるという。
世界AR/VRヘッドセット出荷台数予測、2016年~2021年
IDCは、Proを含めた「PlayStation 4」の国内累計出荷台数が2016年末で400万台を超えていることから、PlayStation VRの2016年第4四半期の出荷台数は消費者市場のニーズを満たしていないと推定している。これに伴い、VRに対する市場の関心は現在高まっているが、出荷台数や価格の問題から、PlayStation VRや「HTC VIVE」のような専用機ではなく、「Gear VR」などのビューワーを用いたスマートフォンによるVR事例も拡大しつつあるとしている。
このような状況が継続すると、「最初のVR体験」デバイスの主流がスマートフォンとなるケースが増え、スマートフォンがVR市場のイニシアチブを握る可能性は否定できないという。また、VRヘッドセットはすでに100ドル未満から1000ドル以上の製品まで登場しているが、低コストのデバイスによるユーザー体験は初心者のVRユーザーを失望させる可能性があるため、技術普及を促すのではなく、むしろ阻害要因となる可能性があると指摘している。