CA Technologiesは4月19日、2018会計年度の事業戦略説明会を開催した。同社が掲げる「モダンソフトウェアファクトリ」構想に基づいて今後数年間の中核になるという3種類の製品を投入する。
モダンソフトウェアファクトリは、企業IT分野のキーワードにもなった「デジタル変革」をソフトウェアの領域からサポートするため、ソフトウェア開発から運用までを工場の生産ラインになぞらえたコンセプト。工場では各製造工程における自動化を通じて高品質なプロダクトを迅速に市場投入しているように、ソフトウェアでもアジャイル開発やDevOps、マイクロサービスを活用して、これを実現していくという。
モダンソフトウェアファクトリのイメージ
企業のデジタル変革における現状について同社は、2016年9月に米Coleman Parkes Researchによる委託調査を実施。94%の事業部門エグゼクティブがアプリケーションの迅速なリリースに迫られ、85%がアプリケーション開発のスピードに満足していないといった実態が浮き彫りになった。
デジタル変革におけるアプリケーション開発で企業が抱えているという課題
記者会見した代表取締役社長の反町浩一郎氏は、「調査ではインドやタイ、ブラジル、インドネシアといった国々が日本を含めた先進国以上に、デジタル変革への恩恵を受けていることが分かった。CAではモダンソフトウェアファクトリの実現に向け、年間1000億円以上の投資を継続している」と話した。
2017会計年度では、特にAPI管理やアジャイル開発向け製品の販売が前年比40~50%の成長となった。また、FinTechやIoT分野におけるパートナーとの協業ソリューションが顧客満足度の向上に大きく貢献した。
この流れを受けて2018会計年度に同社は、業界別ソリューションの提供と新たな中核製品の展開に注力する。前者では既存顧客および大規模・中規模企業の新規顧客の関係強化を図り、特に金融、製造、通信、サービス業界向けに、デジタル変革を具現化するためのソリューションを提供していく。
新たな中核製品では、アジャイル開発分野で「CA Agile Central」の第4四半期に、DevOps分野で「CA BlazeMeter」を第1四半期に、マイクロサービス分野で「CA Privileged Access Management」を第2四半期にそれぞれ投入する。
今後数年間の中核と位置付ける3種類の新製品を投入する
CA Agile Centralは、企業・組織全体でアジャイル開発の推進していくためのプラットフォームをSaaSとして提供し、米国を中心に注目されているという「スケールドアジャイルフレームワーク」を取り入れる。CA BlazeMeterは、同社が2016年9月に買収したアプリケーション性能テストベンダーBlazeMeterのサービスを日本で本格提供する。CA Privileged Access Managementは、クラウドベースで特権IDとアクセス管理を包括的に行うサービスとなる。
反町氏は、「デジタル変革に向けた企業の取り組みは、まだ部分最適にとどまっている。3製品はこれを全体最適につなげるためのもので、今後数年先を見据えた中核製品になる」と説明。2018会計年度は同社にとって日本進出20周年の節目にあたり、さらなる成長に向けて取り組むとの抱負も語った。