CA World

アジャイル、DevOps、セキュリティ--デジタル変革の解決策を製品化するCA

末岡洋子

2016-11-25 07:00

 CA Technologiesは11月18日、米ラスベガスで開催した年次イベント「CA World 2016」で、DevOps、アジャイル開発などの分野で新製品を発表した。テーマは「ソフトウェアファクトリー」。デジタル変革を実現する際の具体的な解決策になるという意味でソフトウェアの重要性がこれまで以上に高まる中、優れたユーザー体験を持ち、ユーザーに価値を提供するソフトウェアで企業のビジネスを加速しようと呼び掛ける。

 最終日の基調講演に登壇したのは、最高技術責任者(CTO)のOtto Berkes氏と最高製品責任者のAyman Sayed氏、ともにここ1~2年にCAに入社した新しい幹部だ。

幹部
左から最高技術責任者(CTO)のOtto Berkes氏と最高製品責任者のAyman Sayed氏。
2013年に着任したCEOのMichael Gregoire氏の変革を支援する重要幹部だ。

 前日の最高経営責任者(CEO)のスピーチを受けて、2人の幹部は技術と製品に落とし込んでCAの戦略を説明した。デジタルトランスフォーメーションにより、企業はエスタブリッシュド(確立された)から、アンチエスタブリッシュドになり、ディスラプション(破壊)を起こさなければならない。社内では従業員とプロセスを、社外では継続的にオンラインで顧客とエンゲージしなければならない。ここでは「プロセスよりも成果を重視する」ため、アジャイル開発とリーンな投資を行う。これらをソフトウェアを通じて支援する、と言うのがCAのメッセージだ。

 Berkes氏は重要な変化として、(1)エンタープライズと外の境界が曖昧に、(2)ID、人間の存在についての考え方が変わる、(3)意思決定の方法が変わる、の3つを挙げた。

 (1)は従業員がITを介さずに外部の技術を利用するトレンドで、(2)はARとVR、音声とセンサベースのインタラクション、ユーザー中心のデザインにより、ユーザーがどんな人で、何を体験しているのかなど詳細な情報が定期的にストリームされるというトレンドだ。(3)はアナリティクスとAIで、「アナリティクスとAIは我々の世界を変えるが、その前に企業のビジネスを変える」とBerkes氏は予想する。

 「この3つのシフトから、自社が何をすべきか、なぜすべきなのかを考え直す必要がある」とBerkes氏、CAの領域であるソフトウェア構築関連では、「開発の方法を変える必要がある」という。例えばウォータフォールモデルでは立ち行かず、アジャイル開発によりリリースサイクルを短縮化する必要がある(1、アジャイル管理)。

 ユーザー体験ではDevOpsを導入して継続的に開発と運用が協業することで、改善を続けることができる。自動化導入により手作業によるエラーを減らし、重要なリソースを顧客へのバリューとなる機能の開発に注ぐことができる(2、DevOps)。セキュリティだ(3、セキュリティ)。

 これらがそろうことで、「ソフトウェアファクトリーの運用を把握し、顧客を満足させるユーザー体験を提供しているのかを知ることができる」とBerkes氏は述べる。

Otto Berkes氏
Otto Berkes氏はMicrosoftに長く勤務してXboxの成功などの業績を支えた後、ケーブルTVサービスのHBOへ。HBOのCTOを辞めたことは、大きなニュースとなった。

 CA Worldでは、3つの分野でそれぞれ新しい製品や機能を発表した。1のアジャイル管理では、2015年よりアジャイル開発支援ソフトウェア「CA Agile Central」を提供している。同年に買収したRally Softwareの技術を土台としており、Sayed氏がCAに入社する前の勤務先だったCisco Systemsでは、2万7000人のCiscoの開発チームはRally時代から利用していたという。CA WorldではAgile Centralに、高度なフィルタリングとフィルタリングの保存、データ変更時にリアルタイムでそれを利用できるWebhooksなどの機能強化が加わった。作業の管理に手間や時間を割くことなく、コードに集中できるという。

 API管理では、「CA API Management」ポートフォリオを持つ。これによりさまざまなビジネスシステムのデータとワークフローを統合でき、拡張性やセキュリティも備えるというものだ。ここでは「CA API Developer Portal」(プレビュー)を発表、マイクロサービス、CAのPaaS、DevOpsの中心となるもので、APIの開発とコンシュームをサポート、SaaSとオンプレミスの実装モデルを利用できるという。

 APIはパブリックとプライベートの両方をサポートする。これに加え、API生成の「CA Live API Creator」を利用してAPIを簡単に生み出せるという。「手作業でのAPI作成よりも10倍高速に作成できる」とのこと。これらと中核となるAPIゲートウェイにより、業界で最も包括的なAPIライフサイクル管理ソリューションを提供すると胸を張った。

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