セキュリティは、モノのインターネット(IoT)のアキレス腱となっている。理由の1つは、IoTに共通の開発標準がないことだ。この問題に取り組むため、The Linux Foundationは、企業50社とともに、オープンソースのコンソーシアム「The EdgeX Foundry」を設立し、IoTのエッジコンピューティングと相互運用可能なコンポーネントのエコシステムのための共通オープンフレームワークの構築を進めている。
The EdgeX Foundryには共通の目標がある。付加価値となる独自機能をベンダーが追加する余地を残しつつ、産業用IoTのエッジコンピューティングを簡素化し標準化することだ。
IoTは、すでにひとつのビジネスとして急成長している。しかし、断片化の広がりと、共通するIoTソリューションフレームワークがないことが、広範な導入の妨げとなり、市場の成長を失速させている。加えて、セキュリティ検証キット「Metasploit」をクラッキングツールとして使ったIoTデバイスへの侵入が、すでに行われている。
こうした複雑さと多様なコンポーネントによって、IoTの停滞が生じている。The EdgeX Foundryは、変化するビジネスニーズに適応する、柔軟性を備えたIoTエッジソリューションの迅速な開発を促進することで、この問題の解決に取り組んでいく。
The EdgeX Foundryは、共通のオープンフレームワークと、相互運用可能なプラグアンドプレイコンポーネントを提供する企業のエコシステムの構築とを軸に、市場の統合を目指す。ハードウェアやOSを問わず、またアプリケーション環境の組み合わせを問わず稼働するようにするのが狙いだ。また、柔軟性によって、幅広い使用事例において、コネクテッドデバイス、アプリケーション、サービス間の相互運用性を促進する。さらに、コミュニティーが開発するプログラム間の相互運用性を、認定プログラムで確保する。
簡単ではないが、最初の取り組みはすでに始まっている。Dellは、Apache License 2.0の下、同社の初期段階のソースコードベース「FUSE」をThe EdgeX Foundryに対して提供することを進めている。
Dellは、10を超えるマイクロサービスと、12万5000行超のコードを提供している。目指しているのは、接続に関する現行の諸標準と、エッジ分析やセキュリティ、システム管理、サービスといった商業的な付加価値との間の相互運用性の促進だ。The EdgeX Foundryに参画するその他のメンバーも、すでにコードの追加を進めている。
The Linux FoundationのIoT担当シニアディレクターであるPhilip DesAutels氏は、この取り組みの理由を次のように説明している。「企業各社は現在、ビジネス課題に取り組むIoTソリューションを展開する前に、多大な時間とエネルギーを注いで、独自のエッジコンピューティングソリューションを開発しなければならない。The EdgeX Foundryは各社が、IoTコンポーネントの結合や統合ではなく、ビジネスバリューの向上のためにリソースを費やせるよう、さまざまなベンダーによる相互運用可能なコンポーネントのエコシステムを促進していく」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。