ソフトバンクは、通信設備における2万ノードの保守にもWatsonを利用。宮内氏によれば、アラートの発生から初期対応を開始するまでに時間短縮で成果が出始めている。
以前の仕組みでは、監視担当者が機器のアラートから内容を確認し、原因を特定してから対応手順を探す手順を取った。緊急性の高い障害は、動員を追加して対応しなければならないケースもあるという。Watsonを利用した仕組みでは、機器のアラートをWatsonの自然言語解析で処理し、重要度や関連度をスコアリングする。さらに「WatsonのRetrieve & Rank」を使って対応が必要なアラートの原因や対応手順を担当者に提示する。

通信設備の保守対応における時間短縮効果
Watsonの導入で、所要時間は平均23分から2分30秒に短縮されたという。追加動員を要する対応件数も2016年度の132件から、2017年度は半減を見込んでいる。
この他にも同社は、2017年夏頃から法人営業担当者の業務をサポートするチャットボットシステムを本格稼働させるという。複雑な料金プランや端末価格などを調べる際にチャットボットが回答候補を提示することで、時間短縮を図る。実験では月平均35分から3.6分に短縮できると想定している。

法人営業でも大きな導入効果を見込む
宮内氏は、こうしたWatson導入プロジェクトの多くが現場社員の発案によって進められているとし、取り組みに対する社員の満足度が高いという。AI活用による業務改善の効果は、政府が推進する「働き方改革」にもつながると強調した。