最高情報責任者(CIO)とIT部門は、各事業部門を横断的に見る立ち位置にあり、デジタル技術を最大限に活用するための情報を提供する役割を負っている。
ではCIOは、自分たちが持っている優れたアイデアを、ビジネス上のメリットに変えるために、ほかの役員とどのように協力していくべきだろうか。この記事では、3人のエキスパートの意見を紹介する。
1.上層部が優先するプロジェクトだけを進める
Safran Landing Systemsの地域CIOを務めるDoug May氏は、毎週定期的に経営チームのほかのメンバーと話す機会を持ち、テクノロジが事業をどう改善できるかを示す努力をしている。May氏が2015年前半に同社に加わって以来、ほかの役員との関わりの深化は優先事項の1つだった。
同氏がCIOに就任した際、同社の幹部は、解決したい技術的な課題のトップ10を示したという。May氏はそのリストを分析して、ほとんどの課題が日常的なITの運用に関する問題であることに気付き、この問題についてハイレベルでの見直しを行うことにした。
同氏は完全な規模のプロジェクトマネジメントオフィスを設置し、「Microsoft SharePoint」を使用して、進行中のプロジェクトと、どの部門がメリットを受ける可能性が高いかを示した。また、インフラ監視ツールである「Nagios」を導入して、日常的な運用業務の課題解決に活用した。
同氏は、このツールはSafran Landing Systemsがサービス提供に積極的なアプローチを取ることに役立ち、エンドユーザーにとって問題になる前に技術的な問題を解決するための助けになったと述べている。「私は、意思決定の責任の所在を事業部門に戻したいと考えていた」とMay氏は言う。
「私の考えでは、ITリーダーはIT部門が行っている仕事について、十分な透明性を確保していないことが多い。CIOが最終決定をしなければならないことが多すぎる。わが社ではそのプロセスを変えて、事業部門が全面的に関与し、IT部門は上層部が優先したプロジェクトだけに取り組むようにした」(May氏)
この新しいアプローチは、事業部門の要求とIT部門の能力のずれをなくすのに役立っている。「ポイントはサービスの提供だ」とMay氏は言う。「私は率直かつ正直であろうとしている。自分が取り組んでいることをほかの幹部に説明すると、それらのプロジェクトが、実際には各事業部門が重視している内容と食い違っていることが明らかになる場合もある」