UI、シンプルは課題ーーTeslaを絶賛
SAP Cloud PlatformはUI「SAP Fiori Cloud」の土台であり、これを利用して既存のSAP Business Suiteからビジネスプロセスをコンシュームできる。Fioriはさまざまな端末に対応するモダンなUIだが、Plattner氏はスピーチ中、何度も「インターフェースは最優先課題」と述べた。現在、SAPの研究開発の10-15%がUIに注がれているという。
UIの例としてPlattner氏は自動車を引き合いに出す。「車はマニュアルがなくてもすぐに運転できる。我々のシステムも、もっと直感的に操作できるようになるべき」と述べて、観客席にいる最高経営責任者(CEO)のBill McDermott氏に、「継続して取り組んでくれ」と命じた。
中でもTeslaを絶賛し、「ボタンがたくさんあるドイツの車に対し、Teslaはタッチ画面で操作ができ、しかも画面は定期的に改善している。ソフトウェアはTeslaのようにならなければ」とした。基調講演後のQAでは、「Teslaは素晴らしい。TeslaのようにSAPを売りたい」というほど。「SAPは遅れている。コンポーネントをAmazonのようなところで販売し、クリックすると24時間後にインストールされる、そうなると良いが」とPlattner氏は述べた。
このようにTeslaを評価する一方で、Teslaの自動化機能は「使っていない」という。「テストで経験していない状況が必ずある」というのが理由だ。
実際、ソフトウェアでも自動化が進んだとしても、Plattner氏はAIにより全てが完全に自動化されるとも思っていないようだ。「機械の方が優れていることがある。プログラムやアルゴリズムを(人間よりも)迅速に設計できるが、人間の脳でしかできないことがある。管理するのは人間だ」とPlattener氏は述べた。
AIではこの日、AribaとIBM Watsonとの連携により、調達をスマートにすることも発表している。Plattner氏は、「Watsonが得意とするところがある」として併用を可能にする方向を打ち出している。
これらの技術を活用して新しいビジネスモデルを作り出すのを支援するのが、Plattner氏が10年以上前から投資してきたデザインシンキングだ。
最後にPlattner氏は集まった2万人の顧客やパートナーに向かって、「将来のコラボレーションはこれまでと違うものになる」と述べた。「我々はS/4 HANAなどの土台を提供するが、一緒にできることはこれまで以上に大きい。人がどのように働くかを変えることができる。全く違うレベルのコラボレーションが可能になる」(Plattner氏)。
「将来は我々の集合知に依存している。インテリジェンスをシステムの設計に入れて、インテリジェントなシステムを開発し、もっと良いシステムを作ることができる。SAPはその一部になりたい」とPlattner氏は呼びかけた。