ランサムウェア

Windowsの脆弱性を突く「EternalBlue」攻撃の基本的な防ぎ方

ZDNet Japan Staff 2017年06月08日 14時10分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 5月中旬に世界的な騒動を引き起こしたマルウェア「Wannacry」が拡散する手口の一つに、Windowsの脆弱性を突く「EternalBlue」と呼ばれるエクスプロイトが用いられた。米EternalBlueは米国家安全保障局(NSA)から流出したとされ、Wannacry以外にもさまざまなマルウェアの拡散手法に使われた

 EternalBlueについて解析したトレンドマイクロのブログによれば、EternalBlueは、WindowsのSMB 1.0(SMB v1)のコード内のカーネル関数「srv!SrvOs2FeaListToNt」によって「File ExtendedAttribute(FEA)」を処理する際に、「Large Non-PagedPool」領域でバッファオーバーフローが発生するセキュリティ上の欠陥(脆弱性)となる。

 脆弱性を悪用するために攻撃者は、まずリモートからSMBが使用するポート445/TCPなどをスキャンしてネットワーク上の端末を探索し、問題を抱えた端末に接続する。端末でバッファオーバーフローを引き起こし、任意のコードを実行できる状態にさせる。さらに、バックドアなどの別の不正なプログラムやコードを送り込む。Wannacryの場合では、EternalBlueから「DoublePulsar」と呼ばれるバックドアなどが仕掛けられる。

アンチウイルスが手を出せない

 EternalBlueは、Windowsのカーネル領域に近い部分で発生する脆弱性であり、Microsoftは3月にリリースしたセキュリティ更新プログラム「MS17-010」で、これに対処した。またDoublePulsarは、実行形式型などのファイルなどを伴うことなく感染端末のメモリ上で活動する「ファイルレスマルウェア」とされる。

 セキュリティ機関の技術責任者は、こうした点がWannacryの騒動で露呈したセキュリティ対策におけるやっかいな点の1つだと指摘する。

 というのも、今回のケースではDoublePulsarが活動するメモリ領域に対して、アンチウイルスなどのセキュリティソフトが積極的に関与できない事情がある。メモリ領域では、コンピュータの正常な稼働プロセスが無数に実行されているため、サードパーティーのセキュリティソフトの関与が正常な稼働プロセスに影響して、クラッシュしたり、ブルースクリーンのような稼働不能状態に陥ったりするリスクがあるためだ。

 「何か問題が起きればセキュリティソフトの責任になり、ベンダー側はアクションを起こしづらい。DoublePulsarのような脅威に対しては、迅速なパッチの適用をアドバイスするといったことしかできず、Wannacryなどの別のマルウェアが出現して、ようやく検知などの対応に移れる」(前述の技術責任者)

 攻撃者は、逆にこの点を突いてファイルレスマルウェアのような手法を使い始めているという。

 今回のWannacry騒動では、身代金を要求するランサムウェア攻撃によって脅威が明るみになったが、そこに至るまでにはOSの脆弱性を悪用する手法の流出と、脆弱性を突いて感染する対応が困難なファイルレスマルウェアの出現という"ステップ"があった。つまり、Wannacryを検知・駆除するだけでは、問題の本質に対処したとは言い切れない。

 「アンチウイルスが有効に機能するのは、ファイルタイプのマルウェアやサードパーティーアプリケーションの脆弱性といったものが中心であり、OSの脆弱性のような問題には、やはりベンダーのパッチを適用する基本的な対策を徹底するしかない」(前述の技術責任者)

 一方で、パッチ適用によるシステム停止などの問題は過去に幾度となく発生し、特に企業や組織ではその影響が大きいだけに、どうしてもパッチ適用を敬遠してしまう。とはいえ、パッチを適用せず脆弱性を放置すればマルウェアによる被害を受けかねない。

 サイバー攻撃の手口は常に変化しているといわれるだけに、パッチ適用という基本的な対策をどのように運用していくか――そこには「リスク管理」という視点も不可欠だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化