新たな宇宙ビジネスコンテスト「S-Booster 2017」のローンチイベントが6月1日に都内で開催された。S-Boosterは内閣府や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、民間のスポンサー企業が協力して立ち上げた新たな宇宙ビジネスコンテストである。今回はS-Boosterを始めとした宇宙産業を支える各種“サポート機能”を紹介する。
宇宙ビジネスをサポートする“縁の下の力持ち”
これまでの連載では近年注目を集める宇宙ビジネスの動向を紹介してきた。AIやビッグデータ解析技術の発展が宇宙ビジネスの成長を後押ししているが、その他にも宇宙ビジネスを影で支える各種取り組み・機能が存在する。
特に宇宙ビジネスの中で注目を集めるAIやビッグデータ解析を得意とするIT企業を宇宙ビジネスに巻込んでいくには、これまで宇宙ビジネスに関心を持っていなかった幅広いプレイヤーに対して情報発信し、彼らを巻き込んだ研究開発や実証事業の推進が必要になる。
近年世界の宇宙ビジネスではIT企業などを始めとする“他産業を巻き込む仕掛け”が重要であると考えられており、さまざまな取り組みが進められている。欧州を中心とした事例を参考に具体的な取り組みを紹介していこう。
まず前回紹介した米国商務省及び米国海洋大気庁(NOAA)が取り組んでいるオープンデータ施策の一環である「NOAA Big Data Project(BDP)」や、欧州宇宙機関(ESA)による「Data and Information Access Service(DIAS)」などは、幅広い産業を巻込み衛星データをビジネスで広く普及させるための取り組みの一つである。
その他にも、同じく欧州で行われているリモートセンシング衛星のデータや、測位衛星から得られる位置情報を活用したビジネスアイデアコンテストである「Copernicus Masters」や「European Satellite Navigation Competition(ESNC)」も、他産業を巻き込み新たなビジネスアイデアを創出させる仕掛けの一つである。
宇宙ビジネスを支える支援機能の例 ※各種公開情報及び対象機関へのヒアリング調査により筆者作成