「SORACOMの顧客数は7000を突破し、ベンチャー企業からエンタープライズまで幅広く使っていただいている」――。7月5日に開催したイベントSORACOM Conference 2017 “Discovery”で、ソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏はSIMカードを利用したIoT通信基盤「SORACOM」が堅調であることを示し、さまざまな新たな事例やサービスを発表した。
ソラコムの代表取締役社長の玉川憲氏
ここでは基調講演で発表された新たな事例やサービスを紹介する。
大阪ガスでは、ガスや電気の使用状況を可視化するデータ計測サービス「ekul」を展開しており、メーターに外部機器を取り付けるとともに、IoT機器向けデータ通信サービス「SORACOM Air」を利用。10分ごとにデータを送信して「使いすぎ」などを顧客に通知している。
遠隔監視用途では、IHIがガスタービン発電プラントのグローバル運用支援にデバイスLAN接続サービス「SORACOM Gate」を採用。閉域網でセキュアに運用している。
コンテナ型の植物工場を提供するファームシップでも生育環境のモニタリングに利用しているという。
動態管理用途ではローソンが物流トラックの現在地把握にSORACOM Airを採用。車両に搭載された各センサにより運転状況をリアルタイム管理している。運転状況を把握し、配送品質が向上したという。日の丸自動車でも東京駅周辺の無料巡回バスにSORACOM Airをとりつけ、バスの位置や到着時間を顧客がアプリ経由でリアルタイムに見れるようにした。
導入の容易さや価格の低さもあり、5月に6000だった顧客数を7月時点では7000に増やした。
講演では新サービスや展開を発表した。ここでは大きく3つの取り組みを紹介する。
IoT機器管理サービス「SORACOM Inventory」を開始
執行役員 片山暁雄氏
「SORACOM Inventory」(Inventory)は、IoT機器の管理や設定を管理するフレームワークを提供するサービス。従来、アプリケーション別に開発する必要のあった、個々のIoT機器の状態や設定の管理、機器の再起動、コマンド発行や、各種メトリクスのモニタリングなどをリモートからセキュアに取得、実行する。
これにより、顧客は回線管理だけではなく、その先にあるIoT機器もSORACOMを通じて遠隔管理できる。IoT機器とSORACOM間のやり取りは、IoT/M2M機器を管理するために、業界団体のOpen Mobile Alliance(OMA)で標準化されたプロトコル「OMA Light Weight M2M(LWM2M)」を用いる。
「IoT本格導入の際に課題だった、IoT機器へのデータセットやプログラムの遠隔実行、ファームアップデートなどを遠隔で可能にした」(執行役員 片山暁雄氏)
このサービスは、7月5日から希望者限定で提供され、利用には申請が必要という。