AIでは、1)固定データセットを利用したソリューションのトレーニング、2)新しいデータを利用した推論の2つがあり、2)では「Intel Xeonが使われることが多い」とRao氏。実際、ウェブサービスなどこれまでのワークロードに加え、推論での利用は増えており、「ワークロードのシフトはすでに起こっている」とRao氏は述べた。なおIntelは、AIワークロードを動かすデータセンターサーバの自社シェアを97%としている。
「GPUはあくまでもポイントソリューションに過ぎない。GPUはCPUを必要とする」「トレーニングサイクルではGPUは高性能だが、推論では遅延などの欠点がある」と述べる。市場の認識については、「Lake Crest/Knight Crestの発表やAI関連の買収により、顧客に対してIntelにAIソリューションがあることを示すことができた。顧客のマインドが変化しており、IntelがAIを提供してくれるなら他のベンダーのものを探す必要はない、と安心してもらっている」と分析した。
AIの進化がIntelのデータセンター事業に与える影響は大きいようだ。
Rao氏はまず、コンピューティングの歴史の中での位置付けを、次のように説明した。「コンピュータはツールであり、これまで計算の自動化のためのツールとして構築してきた。この意図は実現できており、次はデータから意味を見出すためのツールとして進化する」。企業は既にストレージインフラにたくさんのデータを保存しており、これを活用することが今後5年ー10年のフォーカスになるという。
最初に反復の多い作業で使われ、人間よりも高速に効率よく拡張性のある形で作業をこなす。「今後2〜3年でツールが成熟して標準化されるだろう。1990年後半のインターネットと同じような状態だ。ハードウェアの価格が下がり、インフラが手に入りやすくなり、ツールが増えることで現在難しいタスクも5年もすれば難しくなくなる」とした。
具体例として、パーソナライズ医療、患者のモニタリングによる予防的治療など多数の事例が考えられるヘルスケア、自動運転、産業ロボットなどを挙げた。
一方でAIが雇用を奪うことについては、今後20~30年では考えにくいとした。「AIの専門家が足りない。むしろ雇用を創出しているのではないか」とRao氏。AIにつきまとう危惧や恐れの大きな要因として、「イノベーションのペースが速くなっており、人間が追いつくことができるのかが恐れにつながっている」と分析した。「技術の問題というより、政治や社会の問題と言える」。