海外コメンタリー

ビッグデータのセキュリティ向上へ、企業の意識に変化? - (page 2)

Matt Asay (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-07-21 06:45

セキュリティへの取り組みが報われつつあるベンダー

 しかし、ビッグデータにおけるセキュリティ確保の難しさゆえに、ベンダーは状況を緩和するために多大な投資を実施し、売上を拡大してきている。Hortonworksの最高経営責任者(CEO)Rob Bearden氏は、2017会計年度第1四半期決算発表時の電話会議において、セキュリティは同社が提供する重要な差別化要素だと発言した。同氏は「われわれは(自社の)セキュリティとデータ科学に関する能力も充実させた。そして今、こういった能力と機能のすべては、統合されたセキュリティとガバナンスプラットフォームとともに、われわれの中核であるマルチテナンシーエンジン上で実現されている」とも述べた。

 同氏はその後しばらくしてセキュリティに関する話題に戻り、「Hortonworksは、共通した運用管理とセキュリティ、ガバナンスを実現するフレームワークを採用することで、ネットワーク接続されたデータプラットフォームやクラウドサービスを選ばない、一貫性のあるデータアーキテクチャをもたらしている」と語った。実際のところ、セキュリティの話題は電話会議の至るところで、「Hortonworks Data Platform」における鍵となるコンポーネントとして強調されていた。

 一方Clouderaも、同社初となる決算発表(2018会計年度第1四半期)時の電話会議においてセキュリティについて何度も言及しており、その頻度はHortonworks以上だった。以下は、CEOのTom Reilly氏が電話会議の冒頭で語った内容だ。

 データの収集や格納、分析のための従来(クラウド以前)のテクノロジは不適切なものであり、ビッグデータや機械学習という今の時代には力不足かつ高価なものとなっている。企業は目的に見合っているだけでなく、パフォーマンスやガバナンス、コンプライアンス、セキュリティといった、大企業や公共分野の要求を満足できる分散プラットフォームを必要としている。ほとんどすべてのプラットフォームは、コスト面で効率的なスケーラビリティを実現するとともに、クラウドやマルチクラウド、オンプレミスを問わずどこででも稼働できなければならない。

 しかしHortonworksとは異なり、Clouderaはオープンソースと自社のプロプライエタリなソフトウェアを組み合わせたハイブリッドモデルでセキュリティレベルを向上させようとしている。Reilly氏は「PaaSとともに、暗号化や鍵の管理を含む、データに関するエンタープライズグレードのガバナンスとコンプライアンス、マネジメント、セキュリティをもたらすのがわれわれのプロプライエタリなソフトウェアだ」とも明言した。

 ビッグデータのセキュリティを向上させるための選択肢として、オープンソースソフトウェアと、プロプライエタリなソフトウェアのいずれが正しいと信じているかにかかわらず、ベンダーがついに本気を出したというのは素晴らしいことだ。ただ実際のところ、この表現は公正さを欠いている。業界のベンダーら、とりわけHortonworksとClouderaは昔からセキュリティを重視している。今までは、そのようなセキュリティにお金をかけるという考え方が企業側に不足していたのだ。両者のギャップは解消に向かっているようであり、今後はベンダー側の売上拡大は言うに及ばず、エンタープライズセキュリティの向上が期待できそうだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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