クラウドは今や巨大なビジネスになっており、今後もその傾向は強まる一方だ。
Forrester Researchは、2016年の世界的なクラウドサービスの総売上高は1140億ドルだったと推計している。これは、680億ドルだった2年前より増加しており、年平均成長率に換算すれば30%に相当する。パブリッククラウドサービス市場は2020年までに2360億ドル規模に達すると予想されているが、これはクラウドのセキュリティにとって何を意味するのだろうか。
- クラウドへの急速な移行によって、セキュリティやリスクのプロフェッショナルは新たな問題や課題を突きつけられている。従来の境界ベースのセキュリティツールは、クラウド上のワークロードを守るにはほとんど役に立たない。クラウド上に存在するデータやアプリケーションの保護は、基幹アプリケーションや価値の高いデータ、知的財産がクラウドに移るに従って、ますます重要になっている。
- クラウドセキュリティソリューションは、これらの課題を解決すべく急速に進化している。Forrester Researchは、クラウドセキュリティソリューションに関する予想を発表した。このレポートでは、世界のクラウドセキュリティソリューションに対する支出が2021年までに35億ドルに達するという予想を示した。これは、今後5年間の年平均成長率換算で28%に相当する。この予想ではクラウドセキュリティソリューションのタイプを、クラウドセキュリティゲートウェイ、集中型クラウドセキュリティ管理、ハイパーバイザセキュリティ、IaaS/PaaSのネイティブセキュリティの4つに分けて検討した。
- クラウドセキュリティに対する支出は急速に増加しており、ベンダーの注目を集めている。Forrester Researchは、2016年のセキュリティソフトウェアに対する世界的な支出を240億ドルと推計しており、2017年と2018年にはそれぞれ10%成長すると予想している。現在のクラウドセキュリティソリューションに対する支出額は、セキュリティソフトウェア支出の総額に比べると比較的小さいが、その成長率の高さが、多くの従来型セキュリティテクノロジベンダーの注意を引きつけている。大規模なITベンダーは、買収に進めながらこの市場への参入と整理統合を急いでいる。BlueCoatは2015年にPerspecsysとElasticaを買収した後、2016年にSymantecに買収された。HPEは2015年前半にVoltageの買収を発表している。Microsoftは2015年9月にAdallomを買収しており、買収金額は3億2000万ドルだったと報じられている。Ciscoは2016年に2億9300万ドルでCloudLockを買収した。Oracleは2016年9月にPalerraの買収を発表している。これらの十分な資金力を持つ新規参入事業者は、既存の製品ラインにクラウドセキュリティソリューションを組み込むことによって、市場の成長を後押しするだろう。
企業はさまざまな面でクラウドを取り込んでいるが、それによってセキュリティリスクも増加すると予想され、そのリスクを最小化するために、セキュリティ支出も増加するはずだ。企業が攻撃を受けやすくなり、セキュリティソリューションがさらに革新的なものになれば、テクノロジリーダーが事業に対するリスクの影響を理解し、ソリューションは大きく価値を増すはずだ。
本稿はForrester Researchのシニア予測アナリストJennifer Adamsが執筆した。
クラウドへの急速な移行によって、セキュリティやリスクのプロフェッショナルは新たな問題や課題を突きつけられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。