東京大学大学院情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センター第5回シンポジウム「AI/IoTが拓く安全快適社会への展望」で、トヨタIT開発センター 代表取締役社長の谷口覚氏が「コネクティッドカーへの取り組み」という講演を行った。
トヨタ自動車では、データ通信と音声通話の機能を提供するDCM(車載通信機器:Data Communication Module)を2019年までにグローバルで共通化することを掲げており、新型のプリウスPHVには、ほぼすべてのグレードにこのDCMを標準搭載し、3年間無償でサービス提供している。また、2020年を目標に日米で販売するすべての乗用車にDCMを搭載し、KDDIと共同で構築するグローバル通信プラットフォームによってさまざまなサービスを展開していく予定だ。
安全快適社会には自動車の機能進化が欠かせない。それを具現化するのがコネクティッドカーだ。
車両の状態に関する情報を始め、位置や速度の情報、装備したセンサで得られた情報など発信し、リアルタイムで変化するプローブ交通情報や地図情報などを取り入れて、ユーザーの求める情報を素早く提供できるようになる。これらのサービには音声通話によるオペレーターサービスも含まれる。
DCMを標準搭載したプリウスPHVで展開される新サービス
谷口氏は、DCMを標準搭載したプリウスPHVについて、次のように話す。
「ユーザーからは、エアコンのリモート操作や充電状態の可視化の要望が強かったので、充電スポットの案内と同時に提供することにした。スマートフォンからの操作で車内の温度管理をできるようにし、また、充電の状態とその時点での走行可能距離を示すようにした。温度管理については、車外に出ていて戻ったときに快適な温度にしておきたいというニーズが高いということ。また、充電については、急いでいるときは、フル充電ではなく、走行に支障がでない程度にとどめておいて目的地にたどり着きたいという要望があるからだ」
「DCMを標準搭載した新型プリウスPHVには多様なユーザーニーズを取り入れている」と語る谷口氏
新型プリウスPHVで提供される新機能
DCMとトヨタスマートセンターにより提供されるサービス概要
また、「eケアサービス」というものも提供されている。これは、車体情報などから異常が検知されると、トヨタのスマートセンタで原因の推定が行われ、ユーザーに適切な対応方法を提供するというもの。担当販売店のサービスアドバイザーやセンターのオペレーターとも共有され、リアルタイムなサポートが可能となる。
さらに他のコネクティッドカーの走行データから、渋滞を回避するための地図情報を提供することもできる。この機能は、災害時に道路が寸断されたとき、コネクティッドカーの情報から通過できる道路を素早く察知して適切な判断を助けることもできる。