企業が利用できるソフトウェアやサービスの選択肢は、これまでになく広がっている。
大手クラウドプラットフォーム経由で入手可能なサービスの幅が広がるにつれて、企業のベンダー管理は困難の度を増している。
調査会社であるGartnerは、「Six Key Steps to Developing Effective Vendor Management Governance」(効果的なベンダー管理のガバナンスを実現するための6つのステップ)と題したレポートで、「テクノロジベンダーの管理を担当する役員は、クラウド重視のニッチなデジタルビジネスベンダーの急増にどう対応するかという困難に直面しており、ベンダーのパフォーマンス管理の一貫性やリスクの増加といった課題を抱えている」と述べている。
一部の企業幹部に、IT部門などによる集中的な調達経路を迂回して、直接ソフトウェアやサービスを購入しようとする傾向があることで、リスクはますます高まっている。いわゆるシャドーITの増加だ。
しかし、Gartnerの調査ディレクターJoanne Spencer氏によれば、変化の速いデジタル市場で競争力を維持するためには、さまざまな新興ベンダーの助けを得る必要があり、多数のベンダーを管理する困難を回避するのは難しくなっているという。
「新興ベンダーに分類されるベンダーのグループには、興味深い特徴がある。これらの企業は、組織に多くのイノベーションをもたらしている」と同氏は言う。
「これらのベンダーとの関係性には、単なる業務上の契約以上の要素まで考慮した、適切なエンゲージメントが必要とされる。このためGartnerは、文化的な相性や信頼、コミュニケーション、協力関係などの観点についても分析を始めた」(Spencer氏)
しかし、どうすればこれらの新興ベンダーを適切に管理できるのだろうか。また、あらゆる大企業は多くのレガシーベンダーに依存しているが、性質の違う新興ベンダーとレガシーベンダーを、どのように扱っていけばいいのだろうか。
ベンダーの種類と対応の違い
GartnerのSpencer氏によれば、ベンダーは大きく4つのタイプに分類できるという。
- 戦術的ベンダーは、継続的なサポートやサービスを提供する。企業はこれらのベンダーに対して、第一に信頼できる継続性のあるサービスを求めている。
- レガシーベンダーは、これまで組織が長期にわたって依存してきたが、近い将来にほかのベンダーに移行することが検討されているベンダーだ。
- 戦略的ベンダーは、重要な事業目標を実現するために、幅広いプロジェクトで協力しているベンダーを指す。
- 新興ベンダーは、クラウドベースの小規模な企業だ。この分類のベンダーは、将来的には戦略的ベンダーか戦術的ベンダーのどちらかになる可能性が高い。
企業が幅広く用いることができる戦略は存在するものの、ベンダーのタイプによって、それぞれ必要とされるベンダー管理のアプローチは異なる。
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Spencer氏は、ベンダー管理には3つの典型的なアプローチがあると説明している。