Red Hatは米国時間8月1日、同社の主力なエンタープライズ向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)の最新バージョンであるバージョン7.4の提供開始を発表した。
主な新機能は以下の通りだ。
セキュリティ
- 監査機能がアップデートされ、監査システムによって記録されたイベントのフィルタリングがシンプル化されたほか、重要イベントについて得られる情報が増え、大量の記録を解釈しやすくなった。
- 危険なUSBデバイスからサーバを保護するためのLinuxのソフトウェアフレームワークである、「USB Guard」が統合された。
- コンテナセキュリティ機能が強化された。「OverlayFS」で「SELinux」をサポートし、ファイルシステムの安全性を高めたのに加え、アクセスコントロールを細かく行えるようになった。
性能
- 「NVMe Over Fabric」がサポートされ、EthernetやInfiniband上の高性能なNVMeストレージデバイスに柔軟にアクセスできるようになり、オーバーヘッドも軽減された。
- 起動にかかる時間が短縮されたことにより、パブリッククラウドでミッションクリティカルなアプリケーションを早く起動できるようになった。また、「Amazon Web Services」(AWS)の「Elastic Network Adapter」(ENA)がサポートされた。
コンテナ
RHEL 7.4には、「RHEL Atomic Host」の最新バージョンが含まれている。RHEL Atomic Hostは、安全で信頼できるコンテナ化アプリケーションをハイブリッドクラウドで利用するためのコンテナホストだ。コンテナ関連では次のような新機能が追加された。
- SELinuxとOverlayFSのサポート、ストレージグラフドライバ「overlay2」のフルサポートにより、性能を犠牲にせずにセキュリティが向上した。
- 「rpm-ostree」によるパッケージ階層化をフルサポートしたことで、ホストOSに監視エージェントやドライバなどのパッケージを追加する手段が提供された。
- リブートなしでセキュリティアップデートやレイヤパッケージをインストールできるようにする「LiveFS」が、テクノロジプレビューとして導入された。
DevOps
RHEL 7.4では、「RHEL System Roles」がテクノロジプレビューとして導入された。このDevOpsツールは、すべての主なバージョンのRHELに共通の管理インターフェースを提供する。これによって、システム管理者は大規模でヘテロジーニアスなRHEL環境で、「Ansible」の自動化を利用できるようになる。
複数のアーキテクチャをサポート
Red Hatはデータセンターのインフラに関して顧客に選択肢を提供することを重視しており、RHEL 7.4でも複数のアーキテクチャがサポートされている。これには、「IBM Power」や「IBM z Systems」、64ビットARM(開発者向けプレビュー)が含まれる。
これらの新機能は、RHELを物理サーバでも、コンテナでも、クラウドでも利用できるLinuxにすることを目指したものだ。RHEL 7.4は優れた企業向けLinuxに仕上がっていると言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。