セクハラ問題を超えて
表向きのテーマとは別に、女性起業家に対するセクハラ問題が随所で話題となった。「学生たちから、セクハラはあるのか?と聞かれる」とステージに立ったDell Technologiesで社内起業家を務めるElizabeth Gore氏は残念がる。
起業家になるための具体的な関心よりもセクハラを懸念する少女たちの動きに警笛を鳴らしながらも、会場に向かって「男女平等を超えて、もっと儲けよう。役員や議会でもっと女性が席を取っていい。成功した女性起業家として、胸を張ろう」と呼び掛けた。
自費出版を支援するデジタル出版プラットフォーム「Blurb」など、複数の企業を創業したEileen Gittins氏は、シリコンバレーのシリアル起業家。不平等を身にしみて感じている。
ドットコムバブル崩壊後に職を失ったGittins氏、「出版業界は恐ろしく遅れている」とクレジットカードの借り入れでスタートしたBlurbを、年7500万ドルを売り上げるグローバルに成長させた。CEOの座を譲った後、あるイベントで少女たちにどうやったら起業できるのか、リーダーになれるのかという質問を受けたことをきっかけに、若い女性がすぐに起業できる”スターターキット”「Bossygrl」を思いついた。
Blurbなどを創業したシリコンバレーのシリアル女性起業家、Eileen Gittin氏。
「2015年、米国ではベンチャー投資の93%が男性に注がれていると分かった時、これまでのビジネスキャリアの全てを結集させてできることがあると思った。Bossygrlはものの15分でストアを立ち上げることができ、”今すぐ”に起業できる」と語る。さらには、売り上げの5%を女性支援団体や活動に寄付することで、「パイプラインどころか、津波を作ることができる」と語る。Bossygrlを通じてビジネスを始めた女性たちにも、売り上げの一部をそのような活動に寄付するよう呼びかけているという。「2017年の企業は、全て社会的責任を負うべきだ」とGittins氏。
DellのQuintos氏によると、ベンチャーキャピタルに占める女性の比率は低いものの、女性が女性起業家に投資する動きがここ数年で大きくなっているという。