筆者も仕事で年に1回は米国に行きいろいろな企業を訪問していますが、やはり米IT企業のはたらき方はとても参考になります。特に「キャンパス」と呼ばれるGoogleのオフィスは圧倒的な広さと快適さを誇っています。
こういう場所でとてつもない投資をしなければ一流のエンジニアは集められないのかと、ある種絶望的な気持ちにさせられます。私が遊びに行ったときは、社内のキッチンで従業員向けの料理教室を開催していました。食事が仕事のパフォーマンスに与える影響が分かってきたため、そのために料理も教えているのだそうです。
一方、われわれの会社は生憎そのような余裕とはかけ離れていて、恐らく本稿をご覧のみなさんと同様に、厳しい競争、シビアになる一方のコスト要求、人手不足に苦しむ、普通の会社の一つです。
ですが、これから起きる課題に早く気づくことになった結果として、はたらき方改革に(偶然にも)早めに取り組む結果となり、それがうまくいくことを経験として蓄積してきました。
こうした経験によって、われわれは「成果を出すためのアーキテクチャ」についてひとつの結論に達しました。
会社のビジョンに基づき文化・風土が発生し、それを明文化する制度が構築され、それを運用するためのツール(クラウド)が準備された結果、よい人材が定着し、その上で初めて成果が達成される、というものです。
全く偶然にも、先進的なはたらき方で有名なサイボウズも同じ考えのようです。規模も事業も違う会社が、ほぼ同じ結論に達したということは、一定の真理が含まれているからなのではないかと考えています。
本稿が、みなさまのはたらき方改革の一助になれば幸いです。
- 大石 良
- 株式会社サーバーワークス 代表取締役。1973年新潟市生まれ 1996年 東北大学経済学部卒業 丸紅株式会社入社後、インターネット関連ビジネスの企画・営業に従事 。2000 年サーバーワークス設立、代表取締役に就任。 「クラウドで、世界をもっと、はらたきやすく」というビジョンを掲げ、企業の業務システムのクラウド移行に注力している。特技はAWS名物となっている「切腹プレゼン」。