Windows 10のリリースから2年余りが経つ一方、Windows 7は延長サポートの終了まで2年余りとなった。Windows 7を多数導入した企業ではWindows 10への移行が本格化していくが、今回はクライアントPCのWindows 10移行について解説していく。
なぜWindows 10に移行するのか?
Microsoftは、OSのサポートに関して「メインストリーム サポート」の5年間、「延長サポート」の5年間の合計10年間を原則としている。リリースから10年経つと、そのOSに対するセキュリティアップデートの提供が終了する。このため、OSリリースから10年が経過したOSは、セキュリティが著しく低下し、ハッキングなどのさまざまなセキュリティ脅威が極めて高まる。
メインストリームサポートの5年間は、仕様変更や新機能の追加といった、セキュリティ関連以外のアップデートも行われる。つまり、メインストリームサポートの5年間は、そのOSが最新OSとして進化している過程だ。延長サポートの5年間は、セキュリティアップデートのみであり、不具合や問題点は修正されるが、OS自体に新しい機能を付け加えることはない。つまり最低限の修正は行うが、現状維持を目的にした期間になる。
過去のOSを振り返ると、Windows XPは2014年4月、Windows Vistaは2017年4月に延長サポートが終了している。ちなみに、Windows 7はメインストリームサポートが2015年1月に終了し、延長サポートが2020年1月に終了する。Windows 8.1(Windows 8は8.1へのアップグレードが必須)は、メインストリームサポートが2018年1月、延長サポートが2023年1月までとなっている(Windows 10に関しては、サポートポリシーが変更されているため、後述する)。
XPの延長サポートが終了した2014年4月(XPはMicrosoftの事情によりメインストリームサポートが2009年までの約8年間、延長サポートが2014年の5年間と、OSのライフサイクルとしては異例の13年間)、日本ではこのことで大騒ぎになった。
日本マイクロソフトは、それ以前からXPのサポート終了を告知していたが、中小企業や個人ユーザーは延長サポートの終了が、どのようなことをもたらすのかを認知していなかった。インターネットの普及により、ネット経由でのウイルスやマルウェアなど、さまざまなセキュリティ上の脅威が増えてきた時期だった。
また、多くの企業がXPからWindows 7を搭載するPCへの買い換えを強いられ、PCメーカーやソフトウェア企業は忙しい日々を送った。しかし、これは需要の先取りになり、その後数年間は、逆にPC不況となった(スマートフォンの普及も大きな要因になった)。
こういった歴史を見ていると、XPからリプレースされた多くのPCでWindows 7を使用されていることだろう。Windows 8/8.1はタブレットなどのタッチ操作型デバイスへの対応を前面に打ち出したため、従来のWindows OSと操作性が異なり、企業ではあまり普及していない(MicrosoftもWindows 10のユーザーインターフェースで原点回帰を目指したことで、暗にWindows 8/8.1がマーケティング的には失敗したと考えているかもしれない)。
Windows 7の延長サポートが2020年1月に終了することを考えれば、2017年後半から本格的にWindows 10への移行作業をする時期が始まる。特に企業は、2019年までには多くのクライアントPCでWindows 10への移行を果たしておき、一部にだけWindows 7が残るような状況にすべきだろう。
Windows 7は2020年1月14日、Windows 8.1は2023年1月10日に延長サポートが終了する。Windows 10に関しては、10年間のサポートを前提とした「LTSC」(Long-Term Servicing Channel)の延長サポート終了日が記載され、通常のWindows 10とはライフサイクルが異なる(日本マイクロソフトより)
Windows 10の更新プログラムは、毎月の品質更新プログラム(セキュリティアップデート)と年2回の機能更新プログラムの2種類に分かれている(Decode2017資料より)