マルウェア「WannaCry」は、ワーム型ランサムウェアという新たな特徴によって、出現から短い期間のうちに世界中で感染を広げた。トレンドマイクロの観測では、WannaCryとその亜種による脅威が定着しつつあるようだ。

5月12日以降のWannaCryおよびその亜種の検出状況
トレンドマイクロによると、WannaCryの騒動が発生した5月12日以降、1日あたり平均600件以上のWannaCry亜種が新たに検知されている。亜種の発生ピークは1700件以上が見つかった5月18日だったものの、8月以降も1000件以上が検出される日が相次ぐ。これまでに検出された亜種はのべ6万件以上に達し、検出台数ベースでは9割以上を法人が占めている。
WannaCryは、Windowsに存在したSMBの脆弱性を突く手法(通称:EnternalBlue)やバックドア「DoublePulsar」を使って、ネットワーク経由で大規模に拡散した。攻撃者の間で、このワーム型の感染手法が有効だと認められたためか、同様の手法を用いるマルウェアも多数出現した。
同社によれば、WannaCryおよびその亜種の感染手法自体に大きな変化はみられないものの、攻撃者はマルウェアを部分的に改変した亜種を次々に繰り出すことで、セキュリティシステムのシグネチャによる検出を逃れる狙いがあるという。
WannaCryの出現によって、大量のコンピュータがネットワークに接続されている企業や組織では、ワーム型の感染手法で拡散するマルウェアへの対策が課題となっている。