重要なパッチの適用という初歩的なサイバーセキュリティ対策を講じず、自らをサイバー攻撃に無防備な状態のまま放置する組織が依然として存在する。そうした組織は、何カ月も前にリリースされたアップデートさえ適用していない場合がある。
Fortinetによる2017年第2四半期の「Threat Landscape Report」で、セキュリティとパッチ管理に対するそうした貧弱なアプローチなどが詳しく説明されている。同報告書によると、ネットワークとデバイスのセキュリティ維持は、今日のサイバーセキュリティで最もなおざりにされている領域の1つだという。これを修正すれば、今後の攻撃の防止に大いに効果が見られる可能性がある。
報告書をまとめた研究者らは、「WannaCry」ランサムウェアの世界的な拡散、その1カ月後に猛威を振るった「Petya」攻撃を例に挙げて、稚拙なパッチ適用がどれだけ蔓延しているかを説明した。
Fortinetの最高情報セキュリティ責任者(CISO)のPhil Quade氏は、「効果的で一貫したサイバーセキュリティ対策を講じることで被害を抑える機会は誰にでもある。私たちはそのことについて十分に議論できていない」と述べた。
「サイバー犯罪者は、新しいゼロデイ攻撃を使ってシステムに侵入しているわけではない。多くの場合、彼らは既に発見済みの脆弱性を利用する」(Quade氏)
組織は教訓を学んで、セキュリティパッチがリリースされたら、すぐに適用すべきだと研究者らは話す。
研究者らは、全ての組織が教訓を学ぶとは考えていない。また、WannaCryとPetyaが猛威を振るったにもかかわらず、パッチを適用しないことが原因で、新たなランサムウェアワーム攻撃の被害に遭う組織の事例はこれからも出てくるだろうと予想する。
WannaCryランサムウェア攻撃から数カ月が経過した現在でも、このマルウェアに感染したことが明らかになった組織は存在する。8月になっても、LGは、セルフサービスキオスクがWannaCryに感染していることが発覚し、システムを2日間オフラインにすることを余儀なくされた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。