Teradataは米国時間10月23日、人工知能(AI)技術を活用したデータサイエンスと、分析の専門知識をサービスとして提供する「Agile Analytics Factory」を発表した。10月22日から開催中のユーザーコンファレンス「Teradata PARTNERS Conference 2017」(カリフォルニア州アナハイム)で明らかにした。
同社は「高度な分析機能と分析スキルをサービスとして提供することで、顧客が抱えるAIスキルセットの不足やAIに対するROI(投資対効果)の明確化といった課題を解決できる」としている。
Agile Analytics Factoryは、深層学習のモデルを容易に生成、検証、展開、管理する「AnalyticOps Accelerator」やコンサルティングサービスである「Velocity」のポートフォリオを包含する。
Teradataが有する知的財産(IP)や特定業界のベストプラクティスを含むフレームワークも提供する。ユーザー企業は、特定業界の専門知識とデータに基づいた洞察をベースに分析のPDCAを回し、次の施策に生かせるというわけだ。
実際にAgile Analytics Factoryを早期導入したスペインの銀行であるBankiaでは、毎日3000種類の変数を利用し、200モデルの運用に着手。リソースの利用率と生産性の向上に取り組んでいるという。

Teradata Think Big Analytics部門シニアバイスプレジデント Rick Farnell氏
TeradataでThink Big Analytics部門のシニアバイスプレジデントを務めるRick Farnell氏は、「多くの企業は分析プラットフォームを構築しているが、活用の前段階で苦慮しているのが現状だ。ある調査によると、(分析プラットフォームを構築している)52%の企業が『まだ構築できていない』と回答し、41%の企業が『(想定した分析プラットフォームとは)ギャップがある』と回答している。Agile Analytics Factoryは、(こうした課題を解決する)コンサルティングも含む分析戦略の提案から実装まで、分析のあらゆるフェーズを支援する」と、その優位性を強調した。
機械学習で誤検知率を半分に削減
今回のコンファレンスでTeradataは、企業のAI導入とデータ分析の運用を支援するサービスを複数発表している。
具体的には、企業戦略に沿ったAIの活用例を推奨する「AI Strategy Service」、投資前の案件に対して潜在的なビジネス価値の洞察を提供する「AI Rapid Analytic Consulting Engagement」、データソースやデータモデル、ビジネスプロセスを統合し、深層学習機能の構築と展開を支援する「AI Foundation Service」、AIによる分析サービスを包括的に提供する「AI Analytics-as-a-Service」などだ。
これらのサービスは、業種や業界に特化したフレームワークやビジネスIPとともに、コンサルティングサービスとしても提供していくという。それを具現化した1つが、同日発表した金融業界向けの「Financial Crimes Accelerator」だ。
Financial Crimes Acceleratorは、各金融サービスの特性や送金のパターンなど、リテールバンキング商品やチャネル全体のパターンを機械学習し、フィッシング詐欺や中間者攻撃などの外部からの攻撃やなりすましなどによる不正利用を検知する機能を提供する。