正式リリースは2018年第1四半期を予定しているが、すでに早期導入しているスペインの銀行Danske Bankは不正アクセスの誤検知率を約50%削減したという。
Danske Bankの課題と仕組み構築のインパクト。リアルタイムで不正利用を検知するアルゴリズムを採用し、検知率を35%向上させた
Danske Bankが構築した仕組みはこうだ。既存のインフラストラクチャ内にフレームワークを構築し、年間数百万回の取引データから不正検出する機械学習モデルを作成する。
Danske Bank アドバンストアナリティクス責任者 Nadeem Gulzar氏
その上で機械学習が「ブラックボックス」にならないように「なぜ不正フラグが立ったのか」を説明するレイヤを機械学習モデルの上に構築。誤検知精度を高めるとともに、システムの透明性にも配慮した。
コンファレンスのセッションに登壇したDanske Bankのアドバンストアナリティクス責任者であるNadeem Gulzar氏は「われわれの課題は、誤検知を削減することと、攻撃を素早く検知することだ」と語る。
現在は攻撃されてから発見までに要する時間は平均で3カ月と言われている。モバイルバンキングや電子マネーなど、金融サービスのデジタル化が進む中、攻撃の兆候を検知し、素早く対応することは大命題だ。
Gulzar氏は、「AIを活用した最先端のプラットフォームを構築することでお客さまに安心を提供できる。フィッシング詐欺などはお客さま側のミスだが、そうしたミスを減らすことにもわれわれは責任があると考えている。今後も分析をさらに高度化していきたい」としている。