ランサムウェア

ランサムウェア「Oni」、日本企業に標的型攻撃を展開

ZDNET Japan Staff

2017-11-01 12:26

 サイバーリーズンは10月31日、日本企業を標的にするランサムウェア「Oni」の詳しい攻撃活動について発表した。新たに「MBR-ONI」も見つかるなど、感染企業からの金銭搾取を狙った巧妙な手口が判明した。

 Oniは、7月にサイランスが報告したランサムウェアで、日本語による脅迫文などを表示する特徴から日本企業を標的とするサイバー攻撃と考えられていた。


感染攻撃に使われたなりすましメールの一例

 サイバーリーズンによると、Oniの攻撃は少なくとも2016年12月に始まり、2017年9月頃まで続いたとみられる。攻撃では、まず「領収書」などの件名とOffice形式の添付ファイルがあるなりすましメールが送り付けられる。受信者が添付ファイルを開いて文書ファイルを実行すると、マクロの有効化を促される。マクロを有効化してしまうと、受信者のコンピュータに遠隔操作ツールの「Ammyy Admin RAT」が送り込まれる。

 攻撃者は、侵入に成功したコンピュータを起点に、Ammyy Admin RATを使用してネットワークに接続されているファイルサーバやアプリケーションサーバなどにも侵入し、格納されているデータやシステムなどの情報を探索し続ける。この際に、WannaCryなどが感染の拡散に使用したWindowsの脆弱性を悪用する「EternalBlue」の手法を用いる可能性もあるという。

 最終的に攻撃者は、こうした侵入や探索行為の痕跡、システムが検知したセキュリティイベントのログなどを消去し、OniとMBR-ONIを使ってデータを暗号化したり、コンピュータを使用不能にしたりすることで、身代金の支払いを要求する。


「Oni」の脅迫メッセージ

 同社の解析では、Oniは主にPCなどエンドポイントへの攻撃に使われた。感染するとデータが暗号化され、使用不能になる。不正な暗号化の被害に遭ったファイルの拡張子が「.oni」になることが、このランサムウェアの名前の由来となった。一方のMBR-ONIは、ファイルサーバやドメインコントローラ、Active Directoryサーバへの攻撃に使われ、これらのシステムのマスターブートレコード(MBR)を破壊することが分かった。

 サイバーリーズンは、OniとMBR-ONIが同一の攻撃者によって仕掛けられたとみる。攻撃の主な目的は身代金の獲得と考えられるが、数カ月におよぶ攻撃時間や巧妙な手口、狙われた企業の事業内容などから、金銭以外の目的もあり得るという。攻撃された企業では、数百台の端末がOniに感染する直前の状態にさらされたものの、深刻な被害には至らなかったとしている。

 同社は、oniの攻撃を日本だけの事象とらえず、「NotPetya」や「Bad Rabbit」などと同様に、企業を標的にするランサムウェア攻撃への警戒を呼び掛けている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. セキュリティ

    こんなにあった!従来型SIEMが抱える課題──次世代SIEMに必須の“8つの要件”とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]