それからセキュリティが問題になります。これはファイアウォールの概念が役に立たなくなっているからです。従業員は社外から内部にアクセスするようになっており、顧客も、欧州中のパートナーも同様のことをしているため、ファイアウォールはすでに多くのユーザーに迂回されてしまっています。
もちろんファイアウォールは守る必要があります。さらにすべてのアプリケーション、すべてのデータストアも守る必要があるため、わが社はセキュリティの観点から機能を提供していきます。
--それらはどの程度実現できているのですか?
顧客によって状況が違います。一部の顧客は、「すべて終わっている。持っているものはすべてサービスかAPIになっており、すべては相互に接続されていて、あらゆることをその形で進めている。それがわが社の仕組みだ」という状態になっています。ただしこれは、顧客の中では少数派です。
大多数は、まだ取り組みを始めたばかりです。それらの顧客は、「うちにはこのモバイルアプリがあって、25くらいのものと接続する必要があるので、これを拡張したい」というところから始まります。
そのモバイルアプリがシステムに統合できると、次は「この新しいSaaSアプリを導入したので、これをこの大量のメインフレームと接続する必要がある」と言い始めます。そういう種類のアプリケーションもあるわけです。
考えてみると、これはコンピュータネットワークができた経緯と似ています。たとえば1980年頃には、「さあ、コンピュータネットワークを作ろう。それには、これを接続するにはこれが必要で、あれにはあれが必要だ」と言っていたはずです。それから時が経って、たくさんのCiscoの製品を買い、1995年か2000年頃にはようやく、「さあ、コンピュータネットワークができて、あらゆるものがつながった。プリンタもつないだし、サーバもつないだし、音声メールもつないだ。全部IPネットワークの一部になった」と言えるようになります。
つまり、巨大なコンピュータネットワークは、ノートPCやスマートフォンをつなぐために始まったわけではないのです。
われわれがやっていることは、これに少し似ています。顧客がひとつ一つの取り組みを正しい形で進め、正しい形で構築していけば、最後にはすべてつながるはずです。なぜなら、今はすべてがネットワークのノードにすぎず、ほかの誰かが利用できるようになっているからです。これが、顧客に考えてもらおうとしていることです。